スズキ(静岡・浜松)は9月30日、全従業員がAI・データを活用し、持続的な成⻑と顧客への新たな価値提供を目指していくための、DX戦略を発表した。
スズキデジタルビジョン(スズキの投資家向け説明会「DX戦略 発表資料」より)
DX戦略に伴い同社は、トップから現場まで全社員がデジタル人財化することを目指す。経営層では、全役員が2027年にはAI関連資格(G検定など)を取得、また2030年には役職者の昇格条件に設定する予定だ。全従業員は2030年までにデジタル人財になるべく、デジタル人財プロファイルを設定し従業員のスキルを見える化、さらにDX研修の年間6回受講を義務化する。
スズキが本社を置く浜松(遠州地方)の方言に由来する言葉「やらまいか精神」でチャレンジできる組織風土を醸成し、部門や年齢を超えたプロジェクト活動を推進していく。例えばメンバー公募型の新規プロジェクトとして『魔改造の夜』(NHK)などへ挑戦している。また社内データ基盤活用(内製の生成AI)などの月間アクティブユーザー数を2027年に全従業員の50%、2030年には全従業員の80%に向上していくKPIを設定した。
やらまいか精神でチャレンジできる組織・風土を実現し、デジタル活用力を具備した企業に(スズキの投資家向け説明会「DX戦略 発表資料」より)
さらに営業分野では、SUZUKI IDユーザー(国内)を2030年には200万人に伸ばし、同IDを通じて顧客との接点からデータを蓄積し、ニーズにあった製品の開発を進める。また過去の整備履歴から交換部分をAIでピックアップし、最適なアフターサービスを実践していく。そのほか設計分野においては要求性能を満たす設計のAIによる自動化、製造部門においてはAIによる不具合の検出・品質問題の防止、設備稼働データのAI分析による出荷荷量の予測と物流効率化などを行い、スズキ・スマートファクトリーの創造を目指す。
スズキの代表取締役社長の鈴木俊宏氏は「当社の主力市場であるインドの人口は14億人。そのうちスズキとつながりのないお客様が10億人いらっしゃる。その10億人に商品をお届けするには、各事業でAI・データを有効に活用し、我々の知恵や経験の範囲を超えた、今まで発想もしなかったような商品を求めていかなければ実現できません」とコメントしている。
スズキはDX戦略のもと、AIを積極的に取り入れ、従来の枠を超えた発想で、顧客に最適なモビリティを提供していく考えだ。


