万博が示した「大逆転」のCM戦略 開幕前から会期中まで、フェーズごとに異なる工夫とは

2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博は、10月13日の閉幕まで、当初の予想を大きく超える人気を博した。開催前は反対意見も少なくなく、前売り券の販売が伸び悩んでいたが、開幕後は口コミやメディア露出の効果で来場者が増加。8月には運営収支の黒字化の目安である1800万枚を突破し、閉幕間近には当日券の争奪戦にまで発展する「大逆転」を遂げた。

写真 CM カット テレビCM「一生に一度を何度も」篇

テレビCM「一生に一度を何度も」篇

この成功の背景には、テレビCMによる幅広い層への戦略的なアプローチが大きく貢献している。開幕前から会期中に至るまで、時期に合わせてメッセージを変化させ、万博の魅力を伝えてきた戦略について、制作担当者に話を聞いた。

万博未体験者に伝える「未来じゃない今」

万博とわたし 家族篇 30秒

最初のテレビCMは、2024年10月に放映された「万博とわたし」(家族篇・若者篇)。万博を経験したことのないファミリー層や若者世代を主なターゲットに、自分ごととして興味を持ってもらうことを目指した。

2篇に共通するキーワードは「未来じゃない今」。万博で目の当たりにできる最新技術や未来の体験が、はるか遠い夢物語ではなく、まもなく私たちの日常になる「今」の話であるというメッセージを込めている。

CM制作に携わったクリエイターは「万博はこれまで世界の歴史における“未来へのターニングポイント”となってきました。1人でも多くの人に『見に行かなきゃ』と思ってもらえるよう、現代を生きる人々のフラットな目線でCMを描きました」と意図を語った。

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