インバウンド市場の拡大は多くの企業にとって大きなビジネスチャンスだが、「何から手をつけるか」「どの国をターゲットにすべきか」といった根本的な課題も同時に浮き彫りにしている。この問いに対し、宣伝会議主催のイベント「インバウンド会議 カンファレンス 2025」で株式会社MATCHAの青木優氏は、情報発信に留まらない一気通貫の支援が解決の糸口だと提案した。
メディアの枠を超えたマーケティングパートナーに
訪日外国人観光客向けメディア「MATCHA」は、10言語で日本の情報を発信し、月間最大300万人超のアクセスがある。特に台湾、アメリカ、アジア圏で強く、訪日リピーターが多い台湾のユーザーと、初来日の可能性が高いアメリカのユーザー向けにそれぞれ提供する情報を変えるなど、ターゲットの習熟度に合わせたきめ細やかなコンテンツ発信が特徴だ。
単なるメディア運営に留まらず、リサーチから戦略策定、そして実際の送客まで一貫したサービスを提供できる点が強みだと青木氏は語る。クライアントの課題解決に伴走するマーケティングパートナーという役割だ。
MATCHA 代表取締役社長 青木優氏
月間1億円を生み出す3つの視点
講演で特に強調したのが、メディアの成果を測る指標として「送客」、つまり具体的なビジネス貢献を重視する考え方だ。あるクライアントには月間1億円以上、別のレンタカー会社には月間500人以上の送客を実現しているという事例が示された。
このような成果を創出するためのアプローチとして、青木氏は以下の3つの視点とそのポイントを紹介した。
1.インバウンド外国人視点:全体戦略の策定において重要なのが、実際の訪日客視点だ。様々な国籍のメンバーの視察や考察を通じて、クライアントの現状と課題を徹底的にリサーチし、戦略を策定することが求められる。
2.ソリューション戦略・企画アイデア:リサーチで得た顧客インサイトに基づき、具体的なプランに落とし込んでいく。
3.施策と実行:最後に、コンテンツ制作やプロモーションといった実行フェーズへと移り、成果へと繋げる。記事や映像、SNS投稿、広告配信など、適切な配信先を選択することが重要。
MACHAでは、インバウンドに特化した多様な視点と発信ノウハウ、豊富な外国人クリエイターのネットワークを持つ。青木氏は「プロモーション成功の秘訣は、国ごとのインサイトを理解し、有効なチャネルや届け方を踏まえて戦略を立てること」とし、海外視点を持つメンバーによるリサーチに基づき戦略を策定することが重要だと語った。
旅マエから旅ナカまで。シームレスな体験プラットフォームへ
講演の最後で青木氏は、今後の展望として、メディア事業に加え、eSIMの提供や新幹線の予約、食事、買い物といった旅行体験全体をシームレスに繋ぐ「ワンストッププラットフォーム」への進化を目指していると語った。これにより、訪日客の旅マエから旅ナカまで、一貫したサポートを提供していく構えだ。
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株式会社MATCHA




