「才能を殺さないために。」SKY-HIが語るクリエイティブの課題と可能性

10月17日から24日までの8日間で開催される虎ノ門広告祭。テクノロジーが発展し、メディアの様相が大きく変わり、コミュニケーションの構造と評価の仕方が大きく変わった現在。「広告」の置かれている状況も大きく変化したこの時代に、あえて“広告”についてさまざまな視点から議論していく。初日のオープニングキーノートでは「広告業界×音楽業界|時代を掴むクリエイティブディレクション」が開催された。AdverTimes.では一部セッションをダイジェストでお届けする。

「自分が死ぬか世界を変えるかしかもう残されてなかった」

音楽業界と広告業界。一見異なる二つの領域だが、その根幹にあるものは「クリエイティブ」という共通言語だ。ラッパー・アーティストSKY-HIとしてだけでなく、BMSGのCEOとしても活動する日高光啓氏と、虎ノ門広告祭クリエイティブディレクターの菅野薫氏による対談が実現した。

対談の冒頭、SKY-HI氏はアーティストとしてのライブパフォーマンスとCEOとしてのプレゼンピッチの両方を組み合わせた独特のプレゼンテーションを披露。「当たり前ですけど人生で初めての試みなので」と語りながらも、「才能を殺さないために。」をコンセプトに圧巻のパフォーマンスでその場の空気を一変させる力強さを見せつけた。

「広告業界×音楽業界|時代を掴むクリエイティブディレクション」が開催

「広告業界×音楽業界|時代を掴むクリエイティブディレクション」が開催

SKY-HI氏がBMSGを立ち上げた理由について問われると、「もう音楽業界とか芸能界に25年、当時で20年くらいいる中で、もう心が完全に疲弊しきっちゃってたんですよね」と率直に語った。そして「もう自分が死ぬか世界を変えるかしかもう残されてなかった」という強い言葉で、起業への決意を表明した。

起業の動機はもう一つあった。「昔の自分みたいな人ってまだ変わらずにいるんだな」という気づきだ。自身の経験から、既存の音楽業界では活かしきれない才能を持つ若者たちに新しい道を作りたいという思いが、BMSGの設立につながったという。

クリエイティブディレクターの役割とBMSGの取り組み

BMSGの特徴的な取り組みの一つが、音楽制作におけるクリエイティブディレクターの積極的な起用だ。SKY-HI氏は「日本の音楽業界でクリエイティブディレクターを重用するっていう文化があまりなかった」と指摘する。

この取り組みが本格化したのは2022年、BMSGフェス開催時にSIXの斉藤迅(JIN)氏をクリエイティブディレクターとして起用したことがきっかけだった。「車に乗り込んできてくれて。高速道路での移動のタイミングで、自分が考えていることを全部インプットさせていただいた。1週間もしないうちに『こういった形はどうですか』と、(自分の頭の中のイメージが具現化された)企画書になっていた」と、その出会いを振り返る。

SKY-HI氏にとって、この体験は新鮮だった。「ちょうどBMSGの社員が20人を超えて社長業が忙しくなってきたタイミングで、実現したいことをなかなか実行に移せていなかった。しかしJINさんが入ってくれてタッチ数が1/3くらいになったのに、タッチポイントが20倍くらいに増えた感覚」と表現し、クリエイティブディレクターの介入によって、創造的なプロセスがいかに効率化され、かつ豊かになるかを実感したという。この経験をきっかけに、BMSGは「BMSG Creative Lab」を設立するに至った。

菅野氏は「具現化がクリエイティブディレクターの仕事とはいえ、JINさんはアーティストでもあるから理解度が早い」と斉藤氏の音楽への造詣の深さについて触れ、SKY-HI氏は「仕事の話なのか、雑談なのかわからないところに宝が眠っている」と応じた。

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