このキャンペーンを主導したのは、ロンドン、香港、日本などでキャリアを重ね、現在同社のCMOを務めるカーラ・ハートライト氏だ。日本市場の課題を踏まえた、ストーリーテリングを軸としたマーケティング戦略について聞いた。
高齢化が進む日本 将来の不安解消は重要テーマ
——日本での事業展開における課題についてお聞かせください。
当社は、カナダに本拠を置き、135年以上の歴史を持つ世界有数の金融サービスグループ「マニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーション」の一員で、26年前に日本市場に再参入しました。現在、アジア12の国と地域で事業を展開していますが、日本は特に重要なマーケットの一つとして位置付けています。その理由は大きく2つあります。
一つ目が高齢化の深刻さです。日本では30歳以上の多くが「家族をどう支えるか」という悩みを抱えており、将来に備える保険のニーズは非常に高い状況にあります。もう一つが、各保険会社の商品差別化要因を理解している人が少ないことです。当社が実施した調査によると、多くの人が各社の特徴を正確に理解できていないほか、自身の金融リテラシーに不安を感じており、自分で選んだ商品について十分に理解できていないのが現状です。当社は、そうした不安に対して適切にサポートし経済的な安心感を提供することで、長期的に支持される保険会社になれると考えました。
マニュライフ生命保険
常務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)
カーラ・ハートライト氏
マニュライフ・ファイナンシャル・アジアのカスタマー・エクスペリエンス&トランスフォーメーション・アジア責任者を経て、2024年から現職。マニュライフ入社以前は、ロンドンと香港の代理店、コンサルティング会社、企業でマーケティング・リーダーを歴任。最近では、香港の大手モバイルネットワークブランドのマーケティングを統括し、自身のマーケティングコンサルティング事業を立ち上げた。オックスフォード大学クライスト・チャーチ校で近代史の学士号を取得。アジア歴18年。
長生きについてポジティブに捉えてほしい
——そうした課題を踏まえて、今回のキャンペーンではどのような層をターゲットとされたのでしょうか。
これまでの保険業界は40代以上をメインターゲットに、健康不安や親の高齢化といった課題を前面に出した訴求が一般的でした。しかし「人生100年時代」といわれる現在、若い世代も将来設計についてより真剣に考える必要があります。そこで保険ニーズが顕在化する40歳以上はもちろん、将来的な顧客となる若い世代にもアプローチし、社名やブランドを知ってもらうことに注力しました。これを踏まえクリエイティブは特定の年齢層に限定せず、幅広い世代に響くものを目指しました。80代後半の操上和美氏は、歩んできた人生そのものが普遍的で説得力に富んでいたため、起用を決めました。
