SDKI Analyticsはこのほど、「アニメ市場に関する調査レポート:予測2025―2035年」を発行した。当調査レポートは、 アニメ市場の成長に貢献する統計的及び分析的アプローチに焦点を当てたもの。
この調査で言うアニメ市場とは、日本風のアニメコンテンツと、それらに絡み合う知的財産(IP)を中心とする経済エコシステムと定義。この経済エコシステムには、制作、ライセンス供与、そして様々なメディアフォーマットへの配信を通じた、コンテンツの目に見える収益化を含む。
同調査によると、アニメ市場規模は2024年に約428億米ドルに到達。そして、同調査の予測期間中には約6.1%のCAGR(年平均成長率)で成長、2035年までに約805億米ドルに達すると予測された。
この成長率の要因について、同社のアナリストは、市場成長を牽引しているのはマーチャンダイジング、体験型小売、DtoCコマースによるIP収益化だとの見解を示している。とくにアニメ業界の収益基盤として、IP主導のマーチャンダイジング、イベント、そしてDtoC小売への依存が顕著だと言及。要は、“スクリーンの向こう側”での収益化が成長の鍵であるとした。
さらに、KADOKAWA、東宝、バンダイナムコなどの大手IPホルダーは、パッケージ製品から多額の収益を上げていると分析。マーチャンダイジングと体験型チャネルは、上流のアニメーション制作よりも高い粗利益率を誇るため、このシフトは1作品(タイトル)あたりの業界総収益を増加させることにつながる。つまり、予約注文やリカーリング製品ラインを通じてキャッシュフローを安定させることが期待されるとした。
アニメ市場の成長を妨げる要因は?
成長が堅調である一方で、アニメ市場シェアの成長を阻害する要因は、IPプライバシーと違法ストリーミングであることも言及。著作権侵害と無許可ストリーミングサービスは、アニメクリエイター、スタジオ、そしてアニメのライセンスを取得した人々の収入に深刻な悪影響を及ぼすため、合法ストリーミングサービスのビジネスコンセプトを破壊し、新作への投資を阻害する可能性があるとの見解を示した。
同社のアナリストは、世界的な需要の増加にもかかわらず、ほとんどのコンテンツがライセンスや著作権なしで簡単にアクセスできる。この事実は、高品質な制作とイノベーションを支えるクリエイターと業界の努力を損なうのではないか、と主張している。

