AIで制作した50以上の「世界」、三浦大知『Polytope』コンセプチュアルフィルム制作の裏側

三浦大知の新曲『Polytope』。多面体を意味するこの曲のコンセプチュアルビデオではAIによる50以上の「世界」が映された。「エイリアン」あるいは「お化け」のようなAIと、クリエイターはどう付き合っていくべきかDentsu Lab Tokyoの岸裕真さんに聞いた。
写真 MV カット

三浦大知から直接のラブコール

電通のクリエイティブユニットDentsu Lab Tokyoに所属する岸裕真さんは、プランナーとして活躍しながら、AIを活用した実験的な作品を手がけるアーティストとしての顔を持つ。

今回岸さんが手がけた三浦大知の楽曲『Polytope』の映像作品は、単なるミュージックビデオではない「コンセプチュアルフィルム」として2025年7月にリリースされた。企画は個人の関係の中で生まれたものだった。「三浦大知さんが私の作品の展示を何度か見に来てくれていて、あるとき『一緒に作品をつくりましょう』と声をかけてくださったんです」と岸さんは振り返る。

新曲『Polytope』の映像化にあたり、三浦大知は楽曲の単なるプロモーションではなく、一人の作家としてのコラボレーションを岸さんに求めた。

楽曲名である『Polytope』は多面体を意味し、ゲーム『DEATH STRANDING2:ON THE BEACH』の挿入歌にも採用されている。日本語と英語の歌詞が同時並行で進む楽曲構造は、まさに多面的な世界観を表現していた。

AIと共に旅する多面世界

岸さんが描き出したのは、さまざまな世界を旅する一人の人間の物語だ。映像の主人公の顔ははっきりと映さず、彼が旅する無数のパラレルワールドをAIによる生成で表現した。

「今の私たちはSNSやインターネットを通じて、それぞれが異なるリアリティを生きていると思うんです。たとえばXやInstagramなど使うSNSによって得る情報やコミュニケーションする相手が異なったり、またその中でも複数のアカウント(人格)を持っていたりすることは、今では一般的な生活の一側面ですよね」。

現代において人々は統一的な世界観ではなく、各々が選択したフィルターバブルの中で生きている。そんな状況を「パラレルワールドを旅する人間」として表現したのだ。制作にはMargt(PERIMETRON)のIsamu Maedaさんがディレクターとして参加し、AI生成以外のパートを担当した。またFirstthing(電通デジタル)の中山祐之介さんがプロンプトエディターとして参加し、Dentsu Lab Tokyoのメンバーとともにチームで世界観を構築していった。

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