もしも面接で好きな広告を聞かれたら? 広告会社の選考あるあるについて、電通のグロースオフィサー澤本嘉光氏と博報堂で話題作を手掛けるCMプランナーの吉兼啓介氏、若者代表として電通のCMプランナーの杉井すみれ氏がカンヌライオンズのCMを上映しながら副音声で解説するセッション「もし面接で『好きなカンヌライオンズのCMは何ですか?』と聞かれたら。」が虎ノ門広告祭の6日目の10月23日に開催された。
セッション冒頭、澤本氏は「朝イチのセッション、大学の1限ぐらいの時間帯なので、頭を使わずスカッとしたCMで、広告ってむちゃくちゃ面白いじゃんと思ってもらえれば成功」と語り、イベントの口火を切った。本記事では、世界最大規模の広告とコミュニケーションの祭典「カンヌライオンズ」の歴史あるフィルム部門受賞作の中から、第一線で活躍する3人のクリエイターがそれぞれ「好きなCM」を持ち寄り、その魅力を語り尽くした模様をレポートする。
※本記事の取材は虎ノ門広告祭の学生記者の山本薫乃が担当しました。
合計44本の作品を上映し語り尽くす
まず杉井氏が、カンヌライオンズが毎年6月に南フランスのカンヌで開催される世界最大規模の広告とコミュニケーションの祭典であり、中でもフィルム部門は創設当初から続く歴史ある部門の一つだと紹介した。
セッションでは、3人がそれぞれ10本超、合計44本のフィルム部門受賞作品の中から、時間の許す限り作品を上映し、語り合う形式で進行。澤本氏は、吉兼氏と杉井氏を招いた理由を「つくってるCMが面白いからです。2人に後ろから追い抜かれた感じもあるので、ちょっと僕は抜き返そうと思って」とユーモアを交えて語った。
上映リスト44作品
見る視点で物事が変わるCM
最初は澤本氏から。選定基準として、2000年以前のあまり知られていない作品の中から、自身が「こんな馬鹿やっていいんだ」とCMを志すきっかけになったようなCMを選んだと語る。1本目に紹介されたのは、イギリスのガーディアン紙のCMだ。
ある視点から見るとひったくりに見える行為が、俯瞰して見ると実は人命を救おうとしていた、という内容で、「見る視点によって物事が変わる」というメッセージを伝えている。このCMは、企画会議で「『ガーディアン』ぽいのやろうよ」と引き合いに出されるほど象徴的な作品だという。

