“これから買う人”を先読みして広告配信? 楽天グループが「未来購買予測」を実現

生活者の消費における価値観が多様化し、新規顧客の獲得が一筋縄ではいかなくなってきた。そんな中ではキャンペーンを乱発するのではなく、商品を買ってくれそうな人に広告をあてて購買の再現性を高める戦略が必要になっている。実際に“買いそうな人”を的確に捉え、未来の購買行動を予測して先回りでアプローチできれば、広告主にとって大きな武器になる。そんな「未来購買予測」を実現しているのが楽天。メディア×データ×AIを掛け合わせ、購買につながりやすい顧客を獲得し続ける仕組みを構築している。

写真 人物 田中氏

これまでの販促はキャンペーンを何度も実施し、そのたびに売上を立てることがミッションとされてきた。しかし今、それだけでは購買に結びつけることが難しくなっている。“購買に近い”生活者を狙い、再現性高く販促できる打ち手が必要なのだ。

しかし、“購買に近い”生活者を予測し、施策を打つことは、そもそもコンバージョンデータを社内に持っているかどうかや、データ活用の知見が必要になるため、企業の担当者だけで行うのは難しいとされてきた。企業担当者にとっては、「やったほうが良いのにできなかった施策」とも言える。そんな生活者の未来の購買予測を実現しようとしているのが、楽天だ。

楽天はデジタルだけじゃないオフライン購買データも取得

そもそも楽天の広告ソリューションは、「メディア×データ×AI」の3つの柱で構成されている。というのも同社では、インターネット・ショッピングモール「楽天市場」、旅行予約サービス「楽天トラベル」、クレジットカードの「楽天カード」、携帯キャリアの「楽天モバイル」など70以上のサービスを展開している。しかし、同社の広告事業を担当する田中利昌氏によると、注目すべきは、いずれも購買や予約、決済といった「コンバージョンに直結する行動」が生まれるサービスを提供していることだという。

また、コンバージョンに近いサービスを展開しているということは、得られる顧客データも「コンバージョンに近い」ものだとも言える。実際に同社では「楽天市場」での消費行動分析データに加え、コード決済サービス「楽天ペイ」による決済データや、ユーザーがレシートを投稿すると「楽天ポイント」がもらえる「Rakuten Pasha」などを通じてオフラインの購買データも蓄積することが可能になっている。「『楽天ペイ』や『Rakuten Pasha』を通じた決済・レシートデータは、特定の小売企業に偏らず、全国・多業態の購買をフラットに捉えられます。現状のリテールメディアは『特定の小売企業の購買データ』にとどまることが多いですが、楽天は広がりを持てるようになりました。言い換えれば、リアルとデジタルを横断した購買行動の把握が可能だということです。オンライン/オフライン問わず、コンバージョンデータを蓄積しているのは、楽天グループならではの強みです」(田中氏)。

楽天グループの強みは、それだけではない。昨今はAIを掛け合わせ、膨大なデータをもとに購買予測モデルを構築。未来の購買行動を高精度に推定する技術も開発した。

また楽天では購買データだけではなく、楽天IDを持つ1億以上の会員データも蓄積。それらはシングルIDとして管理されているため、広告接触から購買までの行動を一気通貫で分析できるのもポイントだ。つまり、オンライン/オフライン双方の効果測定を可能にしながら広告を見た後に実際に購入したのかを明確に検証できる。

「AIはあくまで分析の手段です。基盤となるデータの質と膨大な量があるからこそ、成果につながるソリューションを提供できると思っています。楽天ではこれら3つを『掛け算』し、広告主の課題に応じた最適な解決策を提供しています」(田中氏)。

購買行動分析データに基づいた分析結果

購買行動分析データに基づいた分析結果

データとAIで未来の購買を予測「これから買う人」をリストアップ

田中氏が言うメディア×データ×AIの掛け算で、楽天が開発した技術が「未来購買予測」だ。「未来購買予測」とは、その名の通りこれから購買する可能性が高い生活者を特定し、先回りしてアプローチできる技術。従来の広告は「過去に購入した人」や「興味を示した人」をターゲットにするのが一般的だったが、「未来購買予測」では、購買前に現れる兆しや行動パターンをデータから読み解き、「これから買う人」を確度高くリストアップできるのが特徴だ。

「購買を予測できる理由は、楽天グループのコンバージョンデータがあるからこそです。予測のためのデータトラッキングの手段としては、①広告主が自社サイトにタグを設置する方法、②保有する会員データやメールアドレスをセキュアな環境で楽天IDと突合する方法、③楽天市場など楽天グループの購買データを活用する方法、の3つがあります。広告主企業のコンバージョンデータの有無にかかわらず、状況に応じて最適なデータ収集の手段を選択することが可能です。挑戦してみたいが、素材がないからできない、ということはないようにしています」(田中氏)。

また、楽天には独自の「Rakuten Customer DNA(CDNA)」と呼ばれる属性情報(年齢、家族構成、勤務地など)と消費行動が一元管理されているデータベースがある。それらのデータを組み合わせ、購買前行動の共通因子を抽出することで、購買の予測を可能にしているという。

「たとえば、CDNAを分析すると、『マタニティ用品を購入した人は、約8年後のタイミングで通信教育を申込む可能性が高い』といったパターンが明らかになりました。こちらはマタニティ、出産、育児を経て小学校入学のタイミングでの行動と読み解けます。この予測が実現するのは『購買する確率』を点数化(スコアリング)し、確度の高いユーザーを抽出していることが理由です。購買データと細かな顧客データがあるからこそ、この技術が実現しました」(田中氏)。

購買を予測した人に商品を送る ブランド認知にも使える施策

「未来購買予測」で特定した「これから買う人」には、前述した楽天グループならではの多様なチャネルでアプローチが可能だという。ディスプレイ広告、動画広告にとどまらず、リアルとデジタルを横断した立体的なコミュニケーションができると田中氏は話す。「配信手法は、楽天グループの各サービス上でのディスプレイ配信が1つです。購買直前のユーザーに対し、商品やブランドを的確に想起させることができます。それだけではなく、楽天グループ内の動画サービスや外部の動画配信サービスとも連携し、映像による動画広告配信も可能になり、商品理解やブランドイメージの訴求に有効です。

ですが意外にも、オフライン広告である郵送型の「DM」「サンプリング」のアプローチによる成功事例も増えているんです。『未来購買予測』で抽出したユーザーに郵送型のDMやサンプリングを行えばその後の購買行動まで分析できますし、特定の商品の購買者に対して自社商品を直接届けることで『ブランド認知』にも活用できることが人気の理由です」(田中氏)。

このように「未来購買予測」は、抽出したユーザーに広告を配信するだけでなく、商品体験にもダイレクトにつなげられるのが特徴。「データを集める→未来の購買を予測する→実際に広告を届ける」という一連の流れを、楽天ならではのID基盤と購買データで今後も精度高く実現していくという。「現在もオフライン購買データを蓄積していますが、今後はより大規模に推進していく予定です。また、モデリングとスコアリングの精度も高めていきます。購買行動は日々変化するので、モデルは一度作って終わりではなく、継続的に更新することが大前提です。AIを取り入れながら、より精緻で柔軟な予測モデルを常に更新していきます」(田中氏)。

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お問い合わせ

楽天グループ株式会社

URL:https://adsales.rakuten.co.jp/
楽天の広告に関するお問い合わせ:https://adsales.rakuten.co.jp/inquiry/advertiser/index.html


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