花王が語る「DX人材」の条件。AIを真に使いこなすには【後編】

BPM(ビジネスプロセスマネジメント)を機能させるために、企業は何から始めたらいいのだろうか。前編では、花王のDX戦略や具体的な取り組みについて解説した。しかし、どれほど優れた戦略も、それを実行する人がいなければ計画倒れしてしまう。ビジネスプロセスを変革し、DXを推進していくためには、どのような人材が必要なのか。
 
本記事では、花王の人材育成への取り組みと、同社のデジタル戦略を担う廣澤祐氏が語る「AI時代に活躍する人材」の条件を紐解いていく。

現場を変革する「シチズン・デベロッパー」

花王の人材育成の根幹には、「社員活力の最大化」という明確なビジョンがある。その象徴的な取り組みが「シチズン・デベロッパー」だ。同社は、MicrosoftのPower Platformといったノーコード・ローコードツールを全社員に提供している。シチズン・デベロッパーはIT技術者ではない、現場の課題を最もよく知る社員自身が、自らの手で業務プロセス改善ツールを開発できるボトムアップ型のアプローチである。この取り組みにより、例えば化粧品の商品開発業務において2万時間もの工数削減が実現されるなど、具体的な成果が生まれているという。

グラフ その他

「社員活力の最大化のためには、まず環境や仕組みを整えることが必要です。ツールという工夫箱がたくさん並んでいる中で、どれを使って何をするかは社員に委ねられる。それがシチズン・デベロッパーの基本的な座組です」と廣澤氏は語る。

さらに、これらを支える仕組みとして、体系的な学習を支援する「DXアドベンチャープログラム」も用意されている。社員がスキルアップしていくためのロードマップを示し、誰でも挑戦できる環境と、進むべき道筋の両方を提供することで、全社的なスキルアップを支えている。

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