デジタル会員証でBPMを再構築 キタムラが描くOMO戦略とは

カメラ販売からスタジオ撮影、写真プリントまで幅広いサービスを手がけるキタムラ。同社は自社の課題を解決するため、経営戦略の土台になるBPM(ビジネスプロセスマネジメント)の再構築に取り組み、成果を上げている。BPMとは、分断された業務プロセスを可視化・標準化し、全社的に最適化する手法だ。

今回はキタムラの統合マーケティング本部の本部長である安達友昭氏と、サービスデザインを担当する甲斐光洋氏に、同社が進めるBPM改善と顧客体験向上の取り組みについて話を聞いた。

多角化の裏で業務プロセスが複雑化

キタムラは、カメラ販売・買取、写真プリント、スタジオマリオでの記念撮影など、多岐にわたる事業を展開している。これらの事業の根底にあるのは「思い出に寄り添い人生を豊かにする」というミッションだ。また、独自のカメラ販売・買取プロセスを活かし、近年では時計の買取事業も拡大。EC事業も含め、幅広い事業ポートフォリオを持っている。

しかし、多様なサービスを展開する一方、業務フロー・データ・意思決定がそれぞれ独立し、顧客体験がプロセスの途中で途切れるという構造的な課題を抱えていた。BPMの観点で見れば、プロセスの分断は価値提供の断絶を意味する。OMO(Online Merges with Offline)を戦略の柱に置いていたキタムラは、まずBPMを再構築する必要があった。分断された業務プロセスを統合し、顧客体験を一貫して設計できる基盤の整備が、その第一歩となった。

キタムラ 執行役員 統合マーケティング本部 本部長 安達友昭氏

統合マーケティング本部が担う「全体最適」

こうした背景のもと、キタムラでは2024年に統合マーケティング本部を設立。マーケティングとサービスデザイン開発を統合管理することで、顧客接点から業務プロセスまでを一貫して設計できる体制を整えた。安達氏によれば、マーケティング部はお客様を連れてきて囲い込む「攻め」の役割を担当。一方、甲斐氏が所属するサービスデザイン開発部は「攻めるための武器を作る」部署だという。

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