Whateverの「なんでもつくる」を実現する三位一体のチーム体制

フラットな関係性が生むチームの強さ

この三位一体モデルを上手く遂行していく秘訣は、三者のフラットな関係性にあります。プロジェクトによってCDがリードすることもあれば、TDやPが主導することもありますが、常に特定の誰かが上に立つようなヒエラルキーはありません。プロジェクトごとに、最も高みに連れて行ってくれそうなメンバーが自然と先頭に立ち、チームを引っ張っていきます。

また、Whateverにはロールに関係なく、誰でもミーティングに参加してアイデアを出せる文化があります。実際にプロデューサーのアイデアが採用されたり、インターンの案が形になったケースもありました。そうした場合も、ちゃんと誰のアイデアだったのかをきちんと表明できるように、「IDEA」というクレジットも記載するようにしています。

では、こうしたフラットなチームをつくるために何が必要なのでしょうか。
そのうちのひとつが、自分の専門領域以外にも関心を持つことだと思います。クリエイティブの人間であれば表現を磨くのは当然ですが、テクノロジーやプロダクションやビジネスについても最低限の理解が必要です。Whateverには、「自分はクリエイティブディレクターだから」と自らロールを限定するメンバーは少なく、専門領域以外にも知識や経験を得ようとするマインドセットを持っている人が多いように思います。僕自身、以前はコードを書いていたので、エンジニアの苦労や工数の感覚がわかります。

それを知っているからこそ、アイデアを出す時にもテクノロジーで実現できるギリギリを攻められるし、本当に実現不可能なアイデアはそっと心の引き出しにしまっておけます。ただ、わかった上で無茶を言うこともあるので、時に「鬼」と呼ばれることもありますが(笑)。

その上で、自分の専門外の仲間や知識を信頼することも大切だと常に感じています。Whateverの3トップ(CEOの富永勇亮、CTOのSaqoosha、CCOの川村)の間には、互いに「また無茶を言ってるけど、そこに理由があるに違いない」とリスペクトし合う関係が、過去のさまざまなプロジェクトを通して自然とできています。いまではその信頼の輪が広がって、チーム全体としてもそうした関係性の中でプロジェクトを進められるようになっていると感じます。

そんな思いから策定したWhateverの行動指針というものがあって、これを乱暴に要約すると、結局は「メンバーをリスペクトし、コミュニケーションを密に取る」ということに尽きると思っています。

※※※※※

枠や帰属に縛られないマインドセット

これまで僕が世界中のエージェンシーなどで働いてきたり、見聞きしてきた中でも、こうした三位一体の体制を本当に機能させられているチームは、世界的にも稀だと感じます。

広告・クリエイティブに関わる会社は、コンサル、エージェンシー、プロダクションなどそれぞれの強みを持っていて、収益構造も違います。また、営業・クリエイティブ・テックなど職能ごとに部署が分かれ、それぞれが別の目標や動機、評価軸で動いていることもあり、三者がフラットに協働し、「なんでもつくる」ことはなかなか難しいのです。

けれど結局のところは、こうした構造的な問題を超え、「なんでもつくる」を実現するのは、個人個人のマインドセットだと思っています。

旧来の広告手法だとメッセージが届きにくくなっているいま、話題性や社会的インパクトを生むためには、領域を柔軟に横断するアプローチが必要になっています。たとえ大手の広告代理店にいようとも、CM制作に特化した映像プロダクションにいようとも、枠や帰属に縛られず、横断的なナレッジを持ち、異なる専門性を持つチームと協働できる人こそが、これからの時代を動かしていくのだと思います。

そもそも、なぜ“なんでもつくる”のか?

答えはシンプルで、いまは何でもコミュニケーションのきっかけになる時代だからです。SNS、イベント、映像、ゲーム、プロダクト、すべてが人と人、人とブランドをつなぐ接点になります。だからこそ、「伝えたいことをどう伝えるか」を考える上で、提案の選択肢を多く持つことが重要です。

「なんでもつくれる」ことは、最適な手段で、最も効果的にメッセージを届けられるということでもあります。そして、そうした多様なアウトプットをスピード感や柔軟性を持って実現するためには、自らアイデアを考え、手を動かしてつくれるチームであることが欠かせません。

こうしたWhateverの「なんでもつくる」を実現しているのが、三位一体のチーム体制なのです。「How to make Whatever」では、僕たちが積み上げてきたメソッドやプロジェクトの裏側といったノウハウを、余すことなく共有していきたいと思っています。

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How to make Whatever 講座概要

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開講日:2026年1月15日(木) 19:00~21:00
講義回数:10回
開催形式:教室開催(宣伝会議表参道セミナールーム)
定員:20名
詳細・お申込:こちらから
 
【オンライン無料体験講座】
11月27日 (木)19:00 ~ 20:30 第0回「なんでもつくる」
 
初回となるオンライン体験講座では、川村真司氏、富永勇亮氏、Saqoosha氏の3名が登壇!Whateverがどのような組織で、そもそもなぜ「なんでもつくる」のか?といった疑問にお答えしつつ、本講座で学べる内容をご説明します。ぜひお気軽にご参加ください。参加はこちらから。

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川村真司

Whatever
CCO / Creative Director

Whateverのチーフクリエイティブオフィサー。180 Amsterdam、BBH New York、Wieden & Kennedy New Yorkといった世界各国のクリエイティブエージェンシーでクリエイティブディレクターを歴任。2011年PARTYを設立し、PARTY New York及びPARTY Taipeiの代表を務めた後、2018年新たなクリエイティブスタジオWhateverをスタート。数々のグローバルブランドのキャンペーン企画を始め、プロダクトデザイン、テレビ番組開発、ミュージックビデオの演出など、その活動は多岐に渡る。カンヌ・ライオンズをはじめとした国際賞を100以上受賞し、Creativity「世界のクリエイター50人」、Fast Company「ビジネス界で最もクリエイティブな100人」、AERA「日本を突破する100人」などに選出されている。


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