制作会社「ない」が11月12日、webムー編集長・望月哲史氏監修のボードゲーム「都市伝説ダウト『証拠より論』」をAmazonにて発売した。
本ゲームでは、プレイヤーがまず、配られた「都市伝説カード」の内容を披露するところから始まる。しかしカードの中には、お題が書かれた「ナシ伝説カード」があり、このカードをもっている場合は、お題や併記された豆知識にそって、その場で都市伝説を自作し披露しなければならない。話し手は“ナシ伝説”であることがバレないように話しつつ、聞き手はそれを見破るという遊び方だ。
ゲームの遊び方。
同商品は、国内外で社会的に問題視されている「陰謀論」への対策として、情報リテラシー教育の必要性が高まっていることを受けて制作されたもの。ありもしない都市伝説をでっちあげたり見破ったりする体験を通して、社会問題化している「陰謀論」にハマらないための耐性を身につけてもらいたいと開発された。
企画で提供するコア価値は、“立ち止まってよく考える力”を養うこと。鹿児島大学の大薗博記准教授と昭和女子大学の榊原良太准教授が共同で行った研究でも、陰謀論にハマりにくくするには熟慮性(立ち止まってよく考える力)を高めることが重要だと示唆されているという。
これらの背景を踏まえ企画されたのが、今回のゲーム。不確かだが魅力的な「都市伝説」を疑いながら聞くゲーム「都市伝説ダウト『証拠より論』」だ。自分自身が“でっちあげの都市伝説”で他者を騙す役割を担うことで、自分も同じように騙されているかもしれないという逆説的な気づきを与える効果も期待し、開発された。
カードにはエンボス加工がされており、傾けるとゲームタイトルが浮かび上がる。右はパッケージ裏面。
しかし、大学生36名を対象に実施したゲームの効果測定では、「陰謀論耐性が高まる」という効果は統計的に確認できなかったという。一部の指標では、弱いながらもゲーム後に陰謀論を信じやすくなる傾向すら見られた。その理由について同社は、“実在する都市伝説にはダウト(嘘)を宣言しない”というゲームの特性上、「都市伝説=実在する」と受け取られかねない構造に起因していると推測している。
担当者は「商品コンセプトと効果測定の結果に矛盾が生じたため、『この商品で遊ぶと陰謀論対策になる』という前提自体が証拠を欠いた一種の“陰謀論”になっているとも言えます。この結果そのものが『論より証拠』の重要性を体現しているのではないでしょうか」と話した。




