クマ駆除から共生へ ソーラーカメラとAI検知がつなぎ直す「山と人の距離」

畜産IoTシステム企業「Core‑Support」と共同開発

昨今話題となっているクマを含め、日本では野生鳥獣による「獣害」が深刻化している。植林地の管理不足や狩猟者の減少を背景に被害が拡大しており、農林水産省の「全国の野生鳥獣による農作物被害状況(令和5年度)」によれば、全国の被害総額は164億円で、前年度から8億円増加している。

獣害の拡大背景には、中山間地域の過疎化や高齢化に伴う「里山」の荒廃といった構造的な問題があり、単なる駆除では解決できない状況が続いている。こうした状況の中、アイムービック(愛媛県松山市)は、同社が開発するAI鳥獣検知システムと、「Core-Support」(鹿児島県伊仙町)が開発する遠隔監視ソーラーカメラ「農CAM(ノウカム)」を連携させた新システム「クマミるAI」を10月29日にリリースした。

「クマミるAI」は、遠隔監視カメラと鳥獣検知AIを組み合わせ、中山間地域の状況を24時間リアルタイムで監視し、クマの出没を早期に検知・通知するシステム。カメラ映像の抽出から解析・分析までの流れをワンストップで提供する。

「農CAM」は、SIMを内蔵しインターネット回線(Wi-Fi)を必要としない遠隔監視カメラシリーズ。同システムではソーラーパネル搭載タイプを使用しており、電源のない里山などでも設置が可能だ。人里に降りてくる前の段階で検知することにより、夜間巡回の大幅削減、不要な出動の抑制、パトロールの省人化など現場負担の軽減につながると見ている。

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