2012年に完全二次利用フリー化を行った漫画『ブラックジャックによろしく』が、今年、AIイラスト生成の開放に踏み切った。作者の佐藤秀峰さんは漫画家やイラストレーターたちが直面するAIによる学習問題をどのように考えているのか。
漫画家が示すAIとの向き合い方
動画、音楽、テンプレートなどの素材マーケットプレイスを運営するモーションエレメンツは9月、佐藤秀峰さんによる漫画『ブラックジャックによろしく』の絵柄を学習したAIイラスト生成ツールを公開した。
AIが生成した『ブラックジャックによろしく』風イラスト。
モーションエレメンツはシンガポールに拠点を置き、動画クリエイター向けの素材マーケットプレイス「MotionElements」を運営する企業だ。「MotionElements」で生成される素材は全て商用利用可能なロイヤリティフリー素材であり、『ブラックジャックによろしく』風のイラストもこれに含まれる。
ロイヤリティフリー素材を提供してきた同社が、AI時代にも同様のアプローチでクリエイターの収益化とプロモーションを支援できないかと考えたのが、今回のツール開発の発端だ。
「2年ぐらい前に、ユーザーである動画クリエイターの方々にアンケートやインタビューを実施しました。特定のイラストをAIでポーズを取らせたり、アニメーション化したりしたいといった要望があった一方で、権利関係がすごく心配だという声も多かったんです」とモーションエレメンツの佐藤大介さんは振り返る。
そこで同社が目指したのは、公式に権利者から許可を取り、どこまでAIで編集可能なのかを明確にしたサービスの提供だった。現在、ツール上には4つのイラストスタイルが提供されており、そのうちの2つが秀峰さんによる『ブラックジャックによろしく』の絵柄を学習したもの(モノクロ・カラーで1種類ずつ)だ。
