読売テレビは9月、未来の“港区”をテーマとするショートドラマ作品を公開した。2人のクリエイターが手がけたAI生成の映像のみで構成される本作は地上波での放送も果たした。ネットや個人の情報発信が進む中、テレビ業界はどのように対応するのか。
韓国で得た刺激から生まれた企画
2025年9月より読売テレビで制作・放送し、DMMショートで独占配信中の『サヨナラ港区』は、全編AIで制作したショートドラマだ。港区が支配する荒廃した未来のトーキョーを舞台にしたSFコメディ作品で、全23話(テレビ放送版は全8話)、全編を通して約50分の尺に仕上がった。
制作したのは、読売テレビのグループ会社であるytvメディアデザインの汐口武史さんと、AIクリエイターである10TEN PARADE(テンパレード)の宮城明弘さん。汐口さんが企画、脚本、編集、プロデュースなどを務め、宮城さんは映像素材の生成を行う役割分担だ。
企画の発端は、汐口さんが2024年夏に韓国のAIスタートアップを視察したことだった。「韓国では既にAIを活用した番組が制作されていて日本との差を感じましたね」と汐口さん。一方で、視察で見たAIツールは映像のクオリティを上げる用途など実用的なものが多く、「もっと面白い使い方はないかと思っていました」と振り返る。
一方、宮城さんは長年CMやテレビ番組などの映像制作を手がけてきたが、約1年前からAIを使った制作を始めた。「若い世代の子たちが最新のツールなどを使って映像などを制作しているのを見て、質的にはまだまだ荒削りだなと思うと同時に、自分もキャッチアップした方がいいなと直感し独学での学習を始めました」と当時を振り返る。
