「おかえり三省堂書店」 神保町本店の再開目前 売上3分の1時代からの「体験価値シフト」は成功するか

地域連携強化やオウンドメディアサービスなどを展開

本の街・神保町に三省堂がいよいよ戻ってくる。大型書店の「三省堂書店 神保町本店」は建物の老朽化などを理由に2022年5月8日に一時閉店していたが、建て替えを行い2026年3月19日に「三省堂書店神田神保町本店」として再開する。売り場面積は旧店舗の70%。売り上げ目標については厳しめに見積もり、まずは旧本店の50%程度を目指すのが現実的だとしている。

写真 人物 12月1日に開催したメディア・関係者向けの説明会。ゲストとしてほぼ日会長の糸井重里氏も参加

12月1日に開催したメディア・関係者向けの説明会。ゲストとしてほぼ日会長の糸井重里氏も参加

旧店舗は1981年3月に竣工し、2021年時点で約40年が経過していた。老朽化に加え、EC台頭による売上減少も閉店の大きな要因。売上のピークは1996年前後であり、その後は少しずつ減少し続け、ピーク時の約3分の1まで下がったという。そこで、建て替えと同時に、新店舗では本店の機能を残しつつ新たな集客策を取り入れた店舗にすることを決めた。

一時閉店当時「必ず戻ってくる」という意思を示すため、「いったん、しおりを挟みます。」という広告を制作。「100年先、200年先に書店という文化を残していくための挑戦」と位置付けたこの巨大しおり広告は、大きな話題となった。

神保町本店を閉めて1カ月後、隣町の小川町にて仮店舗の運営を開始。現在は新本店の準備を進めながら、新しい店舗でのアイデアづくりや各種の実験を行っている。

新店舗は地上13階建て。5階より上がオフィスフロア、4階より下が物販フロアとなっている。低層部分は周囲の街並みに調和させるため石素材の外壁を採用し、上層階の近代的デザインとは異なる趣を持たせた積層構造となっている。

書店部分は1階から3階に配置し、4階は物販テナントに貸し出す予定。書店面積は約600坪で、旧神保町本店の約70%に相当する規模となる。書店の広さについては議論を重ねたという。

2階には文具・雑貨コーナーと催事スペースを設け、三省堂書店が運営する雑貨・文具のセレクトショップ「神保町いちのいち」も展開する。3階にはイベントスペースとカフェを配置する。

亀井崇雄社長は「もっともこだわったのは、1階入口から入った瞬間に書籍の物量をしっかり感じていただくこと。このため1階は本で勝負する売場とする」と述べた。

内装デザインのコンセプトは「Entrance to the World」。本はさまざまな世界を知るきっかけとなり、神田神保町は世界最大級の本の街であり、その中心である1丁目1番地に位置する本店は「未だ見ぬ世界への大きな入口となる場所」だという考えから設定された。

「Entrance to the World」は書店員の決意を表すスローガンとしての意味合いが強いため、店舗の特徴をより端的に表現する別のコンセプトワードとして「歩けば、世界がひろがる書店。」も設定した

内装デザインは長谷川豪建築設計事務所の長谷川豪氏が担当。住宅設計を中心に世界的評価を得ている。サインデザインは日本デザインセンター色部デザイン研究所の色部義昭氏が担当し、大阪関西万博日本館のアートディレクションなど多数の実績を持つ。

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