12月4日~12月10日は「人権週間」。アドタイではこの期間限定で、書籍『クリエイティブ・エシックスの時代』(橋口幸生著)より、人権に関わる解説パートを特別公開します。広告をはじめとする作り手にいまや欠かせない基礎知識となっている「人権」について、コンパクトに知っておくべき要点を押さえます。今回の記事(前編)では人権週間の制定のきっかけともなっている「世界人権宣言」を取り上げます。
人権は法律である
「人に優しくすること」「弱い人をいたわること」
人権とはこうした「気持ちのあり方」のことだと思っている人は、多いと思います。
また、「個人のワガママ」「左翼」「活動家」といったネガティブな認識を持っている人も、大勢いるでしょう。
しかし本来、
人権と思想の左右は一切関係ありません。
日本には本格的な人権教育を受ける機会がなく、結果としてほとんどの人が人権について正しい理解をしていません。それだけならまだしも、ネガティブな誤解が広まっています。
結論を書きます。
人権とは気持ちや感情ではなく、法律で規定され、守られている権利です。
日本で教育を受ける誰もが学校で基本的人権について学びます。基本的人権とは、すべての人が生まれながらにして持っている侵すことのできない権利として、日本の最高法規である日本国憲法に記されています。
たとえば第三章「国民の権利及び義務」第十四条には、こう記されています。
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
これは「平等権」と呼ばれる、法の下で守られている権利です。
人権は様々な法律で規定され、守られています。だから、法治国家である日本で暮らす私たちは、人権を守る義務があるのです。
かつて胸元を強調した女子高生のイラストを使用した新聞広告が炎上したことがありました。当時、様々な意見が飛び交いましたが、賛否ともに「性的なイラストは見たくない」「自分はこれくらい気にならない」といった感情的なものがほとんどでした。人権の観点から見ると、この広告は「女性差別」「子どもの権利侵害」として批判されるべき内容です。