福岡に本社を置くピエトロは12月10日、体験型レトルト商品『おいしいの見つけ方』を発売した。レトルト食品をつくる過程で発生する湯煎の“待つ時間”を新たな提供価値とした商品だ。
レトルト食品はこれまで、「早く・手軽に食べられること」が中心的な価値とされ、“待つ時間”は短縮すべきものと扱われてきた。しかし本商品では、この湯煎の時間を“わたしのおいしい”が膨らむ準備時間として再解釈。食べる人が自分の感性と向き合いながら、おいしさを受け止める心の準備をする“体験型レトルト”という新たな食事体験を提案する。
パッケージは文芸書などで使われるB6判をもとにデザインした本型仕様。箱を開くと「おいしいの見つけ方」と題した短編エッセイが現れる。表紙には、イラストを使用。食べ方を限定せず、購入者それぞれに「その人なりのおいしいを見つけてほしい」というメッセージを託しているという。
ピエトロによると、開発のきっかけになったのは、開発会議で出た「山頂で食べるおにぎりはなぜおいしいと感じるのか?」という問いだったという。レトルト食品の価値を、ただ「便利」なだけでなく「味わう体験」にできないか、という考えだ。
「AIやデジタル化が進み効率が求められる現代でも、人が「おいしく食べる」という行為は変わりません。できたての味を遠くまで届けるために改良されてきたレトルト食品の価値を、ただ「便利」なだけでなく「味わう体験」にできないかと考えました。
食事の真ん中には、いつも“人”がいる。ピエトロはその価値を、商品づくりを通じて社会へ伝えていきます。「山頂で食べるおにぎりはなぜおいしいと感じるのか?」。開発会議の中で出たこの問いをきっかけに、食べる瞬間だけでなく、そこに至るプロセスや時間に“おいしい”が宿っているのではないかという仮説が生まれました。本商品は、湯煎という何気ない時間にも、その特別な“おいしい”を再現できないかという試みから生まれた商品です」(同社・FMP推進室 重松慶行氏)



