広報、マーケティングなどコミュニケーションビジネスの世界には多様な「専門の仕事」があります。人事異動も多い日本企業の場合、専門職としてのキャリアを積もうとした場合、自分なりのキャリアプランも必要とされます。現在、企業のなかで広報職として活躍する人たちは、どのように自分のキャリアプランを考えていたのでしょうか。横のつながりも多い広報の世界。本コラムではリレー形式で、「広報の仕事とキャリア」をテーマにバトンをつないでいただきます。KDDIの小谷元樹さんからの紹介で今回登場するのは、ソフトバンク・企業広報部の森 崇俊さんです。
Q1:現在の仕事の内容とは?
ソフトバンクが長期ビジョンとして掲げる「次世代社会インフラ構想」の実現に向けた取り組みとして、データセンターや計算基盤、最先端AIなどに関する広報業務を担当しています。あわせて、当社が法人事業として展開するクラウドサービスやモビリティ、衛星通信、スマートシティ、公共事業などの幅広い取り組みに関する情報発信に携わっています。
これらの事業領域に共通して、プレスリリースの企画・作成、記者会見や説明会の企画・運営、記者対応・取材調整といったマスコミ対応を横断的に担当しています。“報道対応の最前線”を担う部署として、メディアの皆さんと日常的に向き合いながら、正確で分かりやすい情報発信に努めています。
さらに、事業広報だけでなくコーポレート広報として、IR・財務情報の発信、災害(BCP)・障害・リスク時の広報対応など、企業活動を支えるコミュニケーション業務にも従事しています。
Q2:これまでの職歴は?
新卒で入社してから10年間、一貫して広報の仕事に携わってきました。最初の8年間は商品広報部に所属して、ネットワークや先端技術分野の広報を担当しました。5Gが商用化される前後という、通信事業者にとって大きな節目を迎えるタイミングで多くの経験を積むことができました。
その後、企業広報部へ異動し、現在で3年目になります。これまでに培った知見を生かしながら、障害・災害対応や危機管理など、会社を守る「守りの広報」にも取り組むようになりました。攻めと守りの両面から広報を捉えられるようになり、スキルや視野の幅を広げているところです。
Q3:転職や社内異動などに際して、強く意識したこととは?
転職の経験はなく、また職種としても一貫して広報に従事してきたため、大きな異動の経験はありません。ただ、商品広報部で経験を積む中で、攻めの広報だけでなく、守りの広報も学びたいという思いが次第に強くなりました。
特に、不祥事が続いた時期に、隣の部署である企業広報部のメンバーが危機管理対応の最前線で迅速かつ冷静に動く姿を目の当たりにし、広報が会社を守る砦であることを実感しました。ネガティブな情報が広がりかねない状況下で、社内の各部門と連携し、事実確認を重ねながら対外的なメッセージを組み立て、丁寧にメディア対応を進めていく。そのひとつひとつの判断や対応が、企業の信頼を支えているのだと肌で感じました。