初代AI Creative Future Awards 2025は、タイの伝統舞踏をAIと共創するプロジェクトに

一般社団法人AICA(代表理事:照屋逸郎)は、「AI Creative Future Awards 2025(AICA)」のグランプリ作品とAICA賞受賞作品22点を12月17日に発表した。本アワードは2025年10月に創設され、AIを活用したクリエイティブプロジェクトの新たな価値と可能性を探求する国際的な試みとして、広告、アート、音楽、映像、ゲームなど多様なジャンルから作品を選出している。贈賞式には世界6カ国から37人の受賞者が出席し、成果を共有した。

結果発表に先立ち、審査の議長を務めた清水幹太氏(BASSDRUM テクニカルディレクター)は、AICAを「AIと人間の創造性のConviviality(共生)」というテーマのもとに、単にAIで作られた作品を評価するだけでなく、AIが人間の創造性にどのように寄与しているかを評価したと振り返った。またモノづくりの楽しさの本質について語り、AIを使った創作活動がその楽しさを希薄化させる可能性があることを指摘。さらにAIを使用する際の様々な論点(学習データの出所不明瞭、ブラックボックス化、データポイズニング、文化的盗用・文脈剥奪、計算資源・出力コスト)についても言及し、改めて「Conviviality」が重要なキーワードとなったと強調した。

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審査議長を務めた清水氏によるオープニングキーノート

タイの伝統舞踊をAIが解析し、新たな踊りを創出

初代AICAグランプリに輝いたのは、タイのPichet Klunchun Dance Companyが手がけた「Cyber Subin: Evolving Cultural Heritage through Human AI Co

dancing」。この作品は、タイの伝統舞踊をAIで機械学習させ、新しい踊りのパターンを創出するという試み。人間とAIが共同で創り上げるパフォーマンスは、AIと文化の共生を象徴するものとして、審査員から高い評価を受けた。

受賞後のスピーチでは「AIと人間が共に創り上げる未来の可能性を信じて、2年間かけてプロジェクトを完成させました。今後さらにテクノロジーが進化してより人間にやさしくなっていく中、今回の私たちの受賞を機に多くのプロジェクトへ刺激となって、Convivialityが実現できる素地が整うとうれしいです」とPataranutaporn氏は述べた。

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AICA初代グランプリに輝いたPichet Klunchun氏(中央)とPat Pataranutaporn氏(右)。AICA代表理事の照屋逸郎氏(左)から賞金100万円が贈呈された

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