今年の年末年始は「奇跡の9連休」で、帰省や旅行を予定している人も多いと予想される。航空券の確保に苦労した人も少なくないが、その背景の一つとして「転売ヤー」の存在が指摘されている。
12月10日、日本航空(JAL)はXの公式アカウントで次のような注意喚起を行った。「【ご案内】日本航空では、航空券の第三者への譲渡や転売を禁止しております。ご搭乗の際、航空券のお名前とご搭乗者さまが同一人物でないことが確認された場合、ご搭乗いただくことができませんので、あらかじめご了承ください。」
この投稿は数時間で150万件、2週間足らずで840万件表示され、現在は400件を超える多様なコメントが寄せられている。コメント欄には「『譲ります』という書き込みをよく見る」「不正を許すな」といった賛同の声のほか、「こんなとこまで転売ヤー」「法律で規制してほしい」といった昨今の過剰な転売行為に対する怒りも見られた。同社がこの時期にSNSでこうした投稿を行った理由について取材した。
12月10日に投稿したJALの注意喚起
そもそも、航空券に記載された名前と搭乗者が同一人物であることは大前提だ。しかし以前から、ネットオークションでの転売やSNS上での譲渡といったやり取りが確認されているという。
「中には悪意なくやり取りされているケースもあると見受けております」と担当者は語る。一方で、利用規約では従来から転売や譲渡を禁止しており、航空券に記載された名前と実際に搭乗する本人が異なる場合には、搭乗できないことがある旨を案内してきた。不正搭乗が発覚した場合には、所定の違約金も発生する。
今回の投稿について担当者は、「当社の周知が十分ではなかった点もあると感じております。年末年始のシーズンを前に、どなたにも安心してご利用いただきたいという思いから、このタイミングで改めて案内しました」と説明。当該投稿に多くの反響が寄せられたことについては、「今回、多くのお客さまからコメントをいただき、こうした取り組みの効果を感じております」と感謝の意を示した。
JALは公式ホームページでも、航空券は第三者に譲渡できず、譲渡が行われても券面に記載された本人以外は使用できないと明記している。
あわせて、知人や家族であってもクラスを越えた変更はできず、不正搭乗が発覚した場合は所定の違約金が発生するとしている。国際線の『Conditions of Carriage(運送約款)』にも航空券は譲渡できないこと、別人が提示した航空券を受託または払い戻した場合でも会社は当該権利者に責任を負わないことが明記されている。さらに、名義変更および第三者への譲渡はできない旨をFAQ等でも案内している。
こうした取り組みについて担当者は、「多くのお客さまに制度を正しくご理解いただけていると受け止めておりますが、すべてのお客さまにご理解いただくため、今後も会社からの発信は継続していきたい」と話した。

