TBWA\HAKUHODOは11月27日、生活者とAIの新しい関係性を読み解いたレポート「2025年SNSトレンド徹底解剖」を公開した。同社のソーシャルリスニング専門チーム「65dB TOKYO」が調査したもので、2025年のSNS上で発生した約40億件の投稿を分析した結果をまとめた。
2025年のSNS3大トレンドは「AI」「乗っかりミーム」「ゆるツラ」
2025年1月から11月までのXおよびTikTokの投稿を調査し、発話量(メンション数)とエンゲージメント数をもとに作成された「注目トレンドワードマップ」。SNS上での注目テーマを俯瞰的に可視化することが目的だ。
分析から見えてきた2025年のSNSを象徴するキーワードは、「AI」「乗っかりミーム」「ゆるツラ(ゆるくツラい)」の3つ。
このうち、“とりあえず混ざる”軽い参加を楽しむSNS文化を意味する「乗っかりミーム」では、ミニマムな自己表現で“同じ場に居合わせる”体験が好まれた。
また、ピラティス、コンビニジム、アイスチャレンジ、レシピ投稿などが代表例として挙げられる「ゆるツラ(ゆるくツラい)」は、“楽したいけど、やった感も欲しい”という相反する心理を満たすトレンド。効率化社会の中で“適度なツラさ”を選ぶ自己効力感が注目されている。
「パートナー」か「コンテンツ」か 2つに大きく分かれたAIの活用方法
トレンドキーワードの中でも顕著な存在感を示した「AI」は、話題量・心理的影響・文化変容のすべてにおいて例年にない伸びを示した。Xでは、2024年末にGrokが無料ユーザーへ開放されたことを機にAI関連ワードのメンションが急上昇し、TikTokでもAI関連ハッシュタグの投稿数が2580万件(11月20日時点)を突破。AIに関する投稿量は過去最大を記録した。
2025年のAIに関する話題量の推移。2025年6月時点で1520万件だった投稿は11月には2580万件を突破した。
また、AIの活用方法も「パートナー」と「コンテンツ」という二方向へ進化。AIを「相談相手」として扱う投稿が急増し、「パートナー」としての活用方法が広がった。このトレンドの背景には、否定せず、責めず、遮らずに話を受け止めてくれる存在としてのAIへの安心感があるという。さらに、相談相手としてだけでなく、ChatGPTを「チャッピー」と呼ぶなどAIに愛称をつけるユーザーが200%以上増加したり、「恋人」や「結婚相手」にAIを選ぶ投稿が連続して話題となったりと、AIが精神的な支えとして生活に入り込んでいる様子が見て取れた。
一方で、自分の写真をアップロードするとAIがフィギュア風に変換してくれる「変身系AI」や、「ガラスを切るASMR」「子どもの頃から大人へ成長する“成長記録AI”」など、現実には存在しない奇妙で魅力的な非現実を楽しむ投稿も急増。SNS上で新たな「遊びの文化」として広がりを見せた。


