αFind(アルファインド)とは
α世代の価値観と購買行動などを研究してきた東急エージェンシー「α世代研究チーム」を前身としたα世代デザインファーム。モバイル端末や生成AIの進歩などを背景に、さらに高度なデジタルネイティブとして誕生し、気候変動や多様性などを当たり前とする環境で育つこの世代は、従来のマーケティング手法では捉えきれない新たな価値観・消費行動を持っている。
αFindは、α世代研究チームの知見をベースに、各種調査やデータ分析、生活者インタビューなどを通じてα世代への理解を深め、企業のマーケティング戦略・施策に寄与する実践的な知見を提供する。
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α世代の実態を捉え、独自の価値を提供する
若者たちの行動を捉えるため、多くの企業が「Z世代」というキーワードに注目してきた。ここでいう「α世代」とはZ世代のさらに下に位置する集団であり、2010年以降に生まれた現在14歳以下の世代を指す。上の世代から見ると「若者」として一括りにされがちだが、コロナ禍、教育現場のデジタル化、生成AIの普及など、Z世代とは異なる環境で幼少期を過ごしたα世代は新たな価値観や行動特性を身につけている。
東急エージェンシーはこのα世代にいち早く着目し、2023年に「α世代研究チーム」を立ち上げて彼らの心理や行動についての研究をスタートした。現在は部門横断のα世代デザインファーム「αFind(アルファインド)」として組織を再編。クライアントとの共同調査や将来の消費行動の提言など、より実務への貢献を重視した活動へとシフトしている。
α世代は14歳以下を指す
「α世代の消費行動や特性はまだまだ市場に反映されづらいのが現状ですが、10年後には若者消費や文化の中心を担う世代になります。クライアントの皆様からも『若年層の実態を自社単独で捉えるのは困難』という声を多くいただいており、当社が各業界の知見を集約するプラットフォームとなり、横断的な視点から情報を提供していきたいと考えています」(山田氏)
東急エージェンシー ソリューション推進本部 ストラテジーデザイン局 第1ストラテジーデザイン部 山田晶子 氏
デジタル時代が変える親子の関係
チームが最初に注目したのはα世代が家庭の購買行動において果たす役割だ。
「最終的にモノを購入するのは親ですが、『欲しい』『やってみたい』といった子どもの意見を買い物に取り入れる家庭は増えてきています。特に外食やエンタメといったカテゴリでは子どもの影響力は強く、商品やブランドをα世代に印象付けることは大きな意味を持ちます」(山田氏)
「α世代の親に当たるY世代はインターネットとともに成長してきた最初の世代です。対等で、お互いに意見を言い合うコミュニケーションに慣れた彼らは親子の関係も昔よりフラットなものになっています。この距離感の変化が親と子が一緒に買うものを決めていく、という家庭のスタイルに繋がっていると思えます」(小林氏)
東急エージェンシー ソリューション推進本部 ストラテジーデザイン局 第3ストラテジーデザイン部 プランナー 小林拓磨 氏
「子ども達が幼少期からデジタルデバイスを使いこなし、親世代に引けを取らない情報収集能力を持っていることも背景にあります。また若い頃からインターネットに親しんできたY世代が親となり、子どもが自ら調べてきた情報を抵抗なく受け入れる土壌も生まれています」(藤田氏)
多様化する情報探索
このようにα世代の特徴を生み出す大きな要因となっているのが、情報接触環境の変化だ。彼らは生まれた時からスマートフォンが身近にあり、「GIGAスクール構想」による教育現場へのデジタル端末普及、そしてコロナ禍での非対面コミュニケーションの浸透という環境で育った。こうした背景から、「広く・早く・効率的に」情報へアクセスすることに長けている。
「従来の情報探索はテキストベースの検索エンジンが中心でしたが、今ではSNS内検索や画像検索など手段が多様化しています。さらに検索以外の面でもショート動画やAIとの対話により、まとまった情報を素早く得ることも容易になりました。幼少期からこれらのツールが身近にあり、直感的に使い分けられる点はα世代の優れた特性です」(小林氏)
一方、技術の進化がもたらすのは能力の向上だけではない。
「AIの利用が一般化したことは、探索行動以外にも大きな影響をもたらす可能性があります。海外の研究では、生成AIへの依存が進むと思考力・記憶力・自己効力感が低下する可能性が指摘されています。宿題や課題の答えを見つける、といった用途を中心に小中学生の生成AI利用率はここ数年で大きく上昇しており、長期的に見れば世代全体に与える影響は無視できません」(藤田氏)
向上していく能力とともに苦手になっていることも考慮していく必要があると藤田氏は語る。
東急エージェンシー コンサルティング推進局 データコンサルティング部 藤田俊紀 氏
「インスタ映え」は過去のもの?
行動だけでなく、価値観でも今までの世代との差は広がっている。α世代と上の世代を比較した調査の結果、意外にもα世代はトレンドや周囲の目を気にするよりも、自分にとっての価値や評価軸を重視する、という傾向が浮かび上がった。
「Z世代はSNSとともに成長した世代ですが、α世代はSNSが成熟してからモバイルデバイスを所持し、SNSが当たり前に存在する世界で育ちました。当初は、だからこそ人の目にさらされる意識が強いのかなと思っていました」(山田氏)
価値観を測る質問では、「他人の目よりも自分がどう思うかが大事」「決断の判断軸は自分に合っているかどうか」といった項目で、α世代は親世代を大きく上回るスコアを示した。
「α世代にとってSNSは流行に合わせて発信する場、というよりも自分に合った情報を検索し、選び取る場としての側面が色濃くなっています。そのため購買においても、クラスの誰々が持っているから、流行っているから、というよりも自分に合っているという感覚が決め手になっていくのではないかと考えています」(山田氏)
Z世代では「インスタ映え」という言葉が流行し、他人からどう思われるかを重視して競うようにSNSでの発信が行われた。もちろんα世代もSNSでの発信は行うが、「インスタ映え」は死語となりつつあり、“映え”よりも自分が投稿したいものを投稿するといった使い方に変化しつつあるという。
α世代は「いいね」の数を気にしなくなった
α世代との向き合い方
まだまだ未知の側面が多いα世代だが、今後彼らを読み解く鍵は何なのだろうか。
「例えば『若い世代はタイパやコスパを重視する』と言われていますが、これを単なる心理的な変化と見做すのはやや表面的な理解であると考えています。行動として現れている習慣の背景には若い世代が直面する厳しい経済状況や、効率化を可能にするテクノロジーの進化があります。α世代を理解する際も同様に、行動の裏にある事情や環境を見極めることが重要だと考えています」(小林氏)
「α世代自体はまだまだ子どもの年齢ですが、自分達の子ども時代を基準に理解しようとするアプローチには限界があると感じています。最近では子ども専用のSNS『フォーキッズ』が登場したりなど、大人顔負けのデジタル体験は増えています。一方でたまごっちの再ヒットなど時代を超えて愛されるプロダクトにも注目しています。変わっていく環境と変わらない人間の選好をどちらも見据えた戦略が求められると考えています」(山田氏)
東急エージェンシーは今後もα世代の行動特性やインサイトの研究を強化し、商品・サービス開発やコミュニケーション設計に活用していく考えだ。

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