講談社は2026年1月1日、「本屋さんに行こう。」というメッセージを掲げた新聞広告を全国紙および地方紙に出稿した。この取り組みは、単なる書籍の販促活動ではなく、日本国内で深刻化する書店数の減少という社会課題に対し、一石を投じる「意見広告」としての性格を持つ。この広告に込められた危機感と、書店を「知のインフラ」として未来に残すための戦略について同社の担当者に聞いた。
書店減少という日本の現実に意見表明
朝日、読売、毎日、日経の全国紙4紙に全15段のほか、北海道新聞や中日新聞などのブロック紙・地方紙16紙に5段2分の1広告を出稿した。クリエイティブには、「人類の未来を守るために必要なのは、きっと本屋さんだ。」という強いメッセージが添えられている。
講談社が元旦に大規模な広告を出稿するのは毎年恒例のことではない。2025年は出稿を見送っており、今回の企画は「復活」ではなく、明確な意図をもって実施された。講談社 営業統括部 宣伝企画グループの千葉素久氏は、その背景について「毎年出すわけではないが、今回は意見を言うべきことがあった」と語る。
その「言うべきこと」とは、日本の書店が置かれている厳しい現状に対する危機感である。日本出版インフラセンターの調査によると、日本の書店総店舗数は2014年の1万4658店から2024年には1万417店まで減少している。また、出版文化産業振興財団の2024年11月時点の調査では、全国の約28%にあたる493の自治体で書店が存在しない「無書店自治体」となっている。
経済産業省ほか「書店活性化プラン」より。都道府県別無書店自sy治体数調査(一般財団法人出版文化産業振興財団調べ)
この状況は、諸外国と比較しても日本の特異性を浮き彫りにする。経済産業省の2023年の調査では、フランスの独立系書店数は2015年から2020年にかけて横ばいで推移し、韓国では一度減少した書店数が2015年以降は増加傾向に転じている。千葉氏は「日本の本の読者が減少傾向にあるのは、諸外国と異なる点だ」と指摘し、この状況が国力の低下や社会の分断といったより大きな問題につながりかねないとの懸念を示した。
経済産業省「国内外の書店の経営環境に関する調査」レポートより。フランスにおける独立系書店数の推移


