ダンサー・YUMEKIと踊るコラショが話題に ベネッセが挑む“キャラ再定義”のSNS戦略

ベネッセコーポレーションの通信教育講座「進研ゼミ小学講座」のマスコットキャラクター・コラショが、SNS上で存在感を放っている。Xでのミーム投稿や、ダンサー・YUMEKIとのダンスコラボレーションには、「公式がここまでやるのか」「(ダンスの)キレが凄すぎる」と大きな反響を集めた。こうした同社のSNS施策の背景について、ベネッセコーポレーション CPO室の小木智絵氏に話を聞いた。

YUMEKIとのダンスで表現した、“一生懸命”なコラショ

コラショは1998年、進研ゼミ小学講座のキャラクターとして誕生した。コラショ型の目覚まし時計「めざましコラショ時計」をきっかけに多くの家庭で親しまれ、30年近くにわたって世代を超えた認知を築いてきた存在だ。

幼児向けの通信教育講座『こどもちゃれんじ』のキャラクター・しまじろうと。

一方で小木氏は、現在のSNS環境について「情報の流れが非常に速く、キャラクターの役割もアップデートし続けなければならない」と指摘する。コラショが教材のガイド役として確立された存在であるがゆえに、そのままの姿では、新しい世代の親子にとって“自分たちのキャラクター”として認識されにくくなるという課題があったという。

「当社教材の特徴のひとつでもあるキャラクター接点を、今の時代にどう最大化していくか。それこそがSNS施策の出発点でした」(小木氏)。

そこで同社は、コラショの“親しみやすさ”を軸にしながら、SNS時代にふさわしい見せ方へと再定義を進めた。Xでは、その場の空気感やトレンドを即座に取り込むミーム的な表現を採用。一方TikTokでは、若年層から支持を集める人物とのコラボレーションを通じて、コラショのキャラクター性を表現したと小木氏は話す。

「コラショをどう伝えていくといいのか……と、コラショの持つ親しみやすさの再定義を行い、Xではプラットフォーム特有のミーム的な発信を、またTikTokでは若年層に人気の方とのコラボレーションを通じて、コラショの「一生懸命で、どこか憎めない熱量」を可視化することに注力しました。『教育』という枠を超え、日常のタイムラインに『驚き』や『癒やし』を提供するエンターテインメントとしての側面を強化することが、結果的にブランドへの愛着につながると考えました」(小木氏)。

その一環として実施したのが、ダンサー・振付師として活躍するYUMEKIとのTikTokコラボだ。全力のダンスや、Xでのトレンドへの即応は、コラショの「何事にも一生懸命に取り組む姿勢」を体現するものとなった。

TikTokでは「コラショとYUMEKIの楽しいK-POPダンス」と題し、YUMEKIとダンスコラボを実施。

「投稿後、『コラショが頑張っているから自分も頑張ろう』というポジティブな連鎖が生まれていることを、大変嬉しく感じています。デジタルネイティブな層に対しても、懐かしさだけではない『今のコラショ』を提示することが、今回の大きな狙いでした」(小木氏)。

ミームもダンスも“軸は同じ” ポイントは「記憶に残るギャップをつくる」こと

一連のSNS施策では、学習内容や教材そのものを前面に出す表現は多くない。その狙いについて小木氏は、次のように語る。

「昨今、多くのコンテンツが流れる中で、ただ学習内容を一方的に提示するのではなく、まずはコラショが何事にも全力で楽しむ姿を見せる。これは、あらゆる物事への好奇心や挑戦を『楽しむ』ことから学びが始まるという、私たちの教育に対するスタンスのひとつの切り取り方であると考えているものです」(小木氏)。

XではYUMEKIにダンスを教えてもらう様子など練習風景を投稿した。

Xのミーム投稿やTikTokのダンスは、従来の「真面目な学習キャラクター」というイメージから見ると、意外性のある表現に映るかもしれない。しかし小木氏は、そこにこそ狙いがあると説明する。

「SNSでは単に『教育』『勉強』を語るのではなく、プラットフォームに最適化された文化や文脈に合わせた表現を大切にしています。ミームやダンスは意外性のある表現ですが、そこにある『一生懸命さ』や『純粋に楽しむ姿勢』は、私たちが教材を通じて子どもたちに届けたい価値そのものです。軸をぶらさず、記憶に残るギャップをつくることを意識しています」(小木氏)。

コラショの画像がミーム化してバズったことを受け、公式も同じ画像でポストし話題に。3万件以上のいいねが集まった。

また、同社ではUGCを通じて、各SNS上でコラショがどのように受け止められているかを継続的に確認。そのうえで、プラットフォームごとに表現やトーンを細かく調整しているという。

「表現面で大切にしているのは、『コラショらしい一生懸命さ』です。何事にも全力で取り組むコラショの姿勢が一貫して伝わるよう、ニュアンスにはこだわっています。また身近なパートナーとして、SNS上で、即時かつインタラクティブな会話が生まれるように心がけています。こうした、一見『教育』から遠く見える表現については、社内でも議論がありましたが、SNSでの温かい反応を見て、今では『楽しさを追求するベネッセらしい挑戦』として受け止められています」(小木氏)。

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