「レンタルぶさいく」
自らをそう名乗り、3時間3万円で貸し出す男がいる。合コンの負け役、社交場の引き立て役……当初は「顔面のマイナス価値」を売りにしていたが、今では彼のもとに多くの悩みが集まる。依頼者の多くは20代から30代の女性。彼女たちが「レンタルぶさいく」にお金を払ってまで見せるのは、誰にも見せられない自分の姿だ。
芸人、ブラック企業を経て「レンタルぶさいく」へ
「見た目だけじゃなくて、心も人生もぶさいくです」
そう語るのは、「レンタルぶさいく」こと篠原塁さん(34歳)。大学を卒業後、アルバイトをしながらマセキ芸能社に所属し、コンビを組んでお笑い芸人として活動していた。しかし、売れずに解散し、挫折。30歳の時に、芸人時代のシェアハウス仲間の助言がきっかけで「レンタルぶさいく」を始めた。当時は、「レンタルなんもしない人」という自分を貸し出すサービスがSNSで話題になり、ドラマ化までされていた。
篠原塁(しのはら・るい)さん
1990年生まれ。東京都八王子出身。早稲田大学卒業後、芸人やフィリピンでの就職を経て、「レンタルぶさいく」を開始。3時間3万円(2025年6月現在)で自分を貸し出す。目標は、2000万円を貯め、2年後にオランダでうどん屋を開くこと。メディア出演:「激レアさんを連れてきた。」「ななにー 地下ABEMA」「キタニタツヤのオールナイトニッポン0」など
「レンタルぶさいく」開始直後は、SNSで話題になり、依頼が殺到した。
しかし数か月後には、依頼が激減。最後の依頼は、布団運び。電車で40分以上、何度も乗り換えが必要な重労働だった。単なる「労働力」として扱われたその依頼に、心が折れた。
「なるべく日本と距離を置きたかった」
篠原さんは、その後フィリピンで就職。しかし、月収20万円、200時間の残業。断水や野犬の恐怖にさらされ、心身ともにボロボロに。
そんな篠原さんを「救出」しようと、芸人時代の仲間たちが現地に駆けつけた。その様子がYouTubeに投稿され、「レンタルぶさいく」は再び注目を集めた。
2024年の2月に帰国後、「レンタルぶさいく」を再開。Ⅹのフォロワーは3万5000人に達し、依頼も急増した。
4年前の開始当初は無料だったが、1万円、2万円と段階的に値上げ。月商が100万円を超える月もある。依頼が増えすぎたため、2025年3月から3時間3万円に設定した。
篠原さんのX(@rental_busaiku)より
「この度レンタルぶさいく始めました。主な利用方法としては、合コンの負け役、社交場での引き立て役、等。その他なんでもOKです。ご依頼はDMにて」
「モテない」が武器に
篠原さんは、これまで「モテない」人生を送ってきた。芸人時代にはとにかく女性と出会うため、マッチングアプリの有料機能を駆使し、指紋がなくなるほどスマホ画面をスワイプした。約200人と会ったが、それでも交際に結びつくことはなかった。
それが今では、「モテない」ことがお金になっている。
「もし俺がカッコよかったら、等身大の自分より良く見せようとしちゃうと思う。でも、俺には見栄を張る必要がない。だから本当の自分を見せて、自由に話せるっていうのは、ある気がする」

