プルデンシャル社員は「不安と怒り」 性善説を否定する組織改革、社員の行動管理まで踏み込む

90日の自粛期間で報酬制度や体制を見直し

プルデンシャル生命保険は、社員・元社員による金銭不祥事に関する問題で2月10日に都内で記者会見を開いた。1月23日に続いて2回目の会見。同社は2月9日から90日間の新規営業の自粛に入っており、会見では自粛期間中に実施する重点施策や調査・補償の枠組みなど、再発防止策の詳細を説明した。

2月1日付で社長に就任した得丸博充氏は記者会見で、事実関係の調査と再発防止策を策定する第三者委員会を設置することを明らかにした。また営業自粛期間中に報酬制度の一部見直し、ライフプランナーの行動管理プロセスの構築、顧客とライフプランナーの関係における密室化の解消という3つの対策を実行すると説明した。

2月10日に開いた記者会見。(左から)坂本英之氏、吉田悟氏、得丸博充社長、篠原慎太郎氏、永瀬亮氏

同社は1月16日、不適切な金銭取引に関して元社員・社員107人が関与し、被害総額が30.8億円に上ると公表していた。顧客から金銭を借り入れたり、投資話を持ちかけたりするなどの行為が確認されているという。

同社は原因の一つとして、新規契約の獲得に強く依存した報酬制度を挙げた。月ごとの契約件数によって収入が大きく変動する構造が存在し、一部のライフプランナー(営業担当者)は収入の大きな変動によって生活が困窮し、それが顧客から金銭を借り入れるといった不適切行為の要因になっていたとしている。

一方で、不適切行為を行ったライフプランナーの中には、収入状況が特段悪かったわけではないにもかかわらず、不適切な投資勧誘などの行為に及んだケースも見られた。同社は背景として、顧客と担当者の関係が会社から見えにくい「密室化」という構造的な問題があったと分析している。

得丸社長は会見で「金銭を取り扱う金融機関として持っておかなければいけない行動管理のプロセスが整っていない状況だった」と述べ、「性善説」に基づいた運営体制の問題点を指摘した。

自粛中に行動管理プロセスなどの改革を推進

営業自粛期間中、同社は3つの重点施策を実施すると発表。第一に「報酬制度の見直し」を進める。営業活動の経費が賄えず生活に困窮するような報酬制度が不適切行為の誘因になったと見ており、ライフプランナーが安定的に働ける制度へ再設計する。

第二に、行動管理プロセスの可視化を図る。ライフプランナーが「いつ、どこで、誰に、どのような話をしたのか」を管理職が把握できる体制を構築する。

同社は、担当者の裁量を尊重するあまり、日々の行動を会社が十分に把握できていなかったとして、今後は営業活動を可視化し、不適切行為の予兆を本社が早期に把握できる状態へ改めるとしている。

第三に、顧客とライフプランナーの1対1の関係に依存していた営業体制を改める。これまで一人の担当者が顧客に一生涯寄り添うビジネスモデルを採用してきたが、関係が閉じやすく、会社として透明性を確保しにくいという課題があった。

今後は顧客をチームで支える「アワークライアント」という思想を導入し、担当ライフプランナーに加えて本社など別の担当者も第二担当として顧客に定期的にコンタクトを取る体制を想定している。組織として顧客情報を共有し、属人的な関係に依存しない仕組みへ移行する狙いだ。

さらに、支社ごとの管理に依存していた点を改めるため、本社所属のコンプライアンス担当者が独立した立場で支社を横断的に監督する体制を構築する。現場と本社が協力すべき点は連携しつつ、必要な場面では本社が適切に牽制する、健全な管理体制の確立を目指すという。

得丸社長は「お客様とライフプランナーが安心してお会いできるような体制が整った段階で、営業自粛を解除したい」と述べた。体制が不十分な場合は営業自粛期間の延長も検討するとしている。

営業自粛期間中、ライフプランナーに対しては過去3年間の平均月収を基準に収入補填を行う。客観的な基準に基づいた算定方法により、生活困窮を防ぐ措置を講じる。

第三者委員会で過去の経営責任も検証

第三者委員会は同社および同社グループ会社と利害関係を有しない外部専門家で構成される。社内調査は実施してきたが、事実関係の一層の解明やより実効性のある再発防止策の検討には、より高い専門性と客観性を備えた第三者による調査が必要だと判断したとしている。

委員会の目的は「社内調査結果の検証および本件の事実関係の調査」「本件に関連するガバナンス上の問題(過去も含め同社の経営陣の果たしてきた役割を含む)の検討」「本件の原因分析」「上記原因分析を踏まえた再発防止策の検討および策定」だ。

日本弁護士連合会のガイドラインに完全準拠した形ではないものの、調査手法の決定や報告書の作成において独立性と中立性を確保する条件で設置されたとしている。顧客情報の持ち出しや不適切な募集行為といったコンプライアンス上の問題も調査対象に含まれる。

得丸社長は「第三者委員会の調査結果を踏まえ、現在および過去の経営陣に対して必要な措置を取る必要があると判断した場合は、適切な措置を講じていきたい」と述べた。

調査期間については「できる限り早く進めたい」としながらも、第三者委員会の判断に委ねる姿勢を示し、報告書がまとまり次第、速やかに公表する予定だ。

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