人の人生を支える生命保険と、スポーツやアスリートのサポートには極めて高い親和性がある。日本生命保険が長きにわたりスポーツ界をサポートし続ける理由を、サステナビリティ経営推進部の杉本翔治氏はそう語る。
1929年の野球部創設から約一世紀。同社のスポーツへの関わりは、2021年の東京2020オリンピック・パラリンピックを契機に大きな進化を遂げた。それは、自社事業への貢献から地域・社会課題解決まで両面で導くサステナビリティ経営を推進する中核的なアクションへの変革である。
なぜ生命保険会社がスポーツをサポートするのか。そして、その活動をいかにして企業価値向上へとつなげているのか。東京2020五輪以前から担当者として関わり続ける杉本氏に、その変遷と未来への展望を聞いた。
「人の人生を支える」生命保険とスポーツの親和性
日本生命のスポーツとの関わりは古く、1929年の野球部、1954年の女子卓球部創設にまでさかのぼる。当初は従業員のエンゲージメント向上という視点が始まりだった、と杉本氏は振り返る。
1984年のサラエボ冬季五輪の頃から日本オリンピック委員会(JOC)への協賛を開始した。途中、国際オリンピック委員会(IOC)のパートナー契約の都合による中断期間はあったものの、制約がない期間は一貫してオリンピック日本代表選手団を支え続けてきた。
2013年から2015年の東京五輪誘致パートナー、2015年からはJOCゴールドパートナー(生命保険カテゴリー)として名を連ね、その関係は今日まで続いている。
2026ミラノ・コルティナ冬季五輪が開幕に合わせて放映しているCM「Play, Support. 『スポーツが教えてくれた』」篇
なぜ同社は長くスポーツに関わり続けるのか。
「スポーツやアスリートのサポートは、人の人生を支える生命保険との親和性が極めて高いと考えています。アスリートの活躍や、彼らを支える人々の姿を通して『応援すること』『支え合うこと』の大切さを社会に広げていきたい。それが私たちのスローガン『Play, Support. さあ、支えることを始めよう。』に込めた思いです」と杉本氏は語る。
生命保険という商品は、形がなく、その価値を伝えるのが難しい側面がある。しかし、アスリートが様々な困難を乗り越え、輝かしい舞台に立つまでの人生の物語は、多くの人々の心を打つ。
メダルを獲得した選手の背景にある人生の物語は人々の共感を呼ぶ。そうした「人生を支える」という事業の根幹にある思いを伝える手段として、スポーツは非常に親和性が高いと杉本氏は説明する。
東京五輪を機に「ビジネスへの還元」を強く意識
長年続けてきたスポーツ領域へのサポートだが、その位置づけが大きく変わる転機が訪れる。2015年に決定した、東京2020五輪のゴールドパートナーへの就任である。
この大会を機に、社内での議論を経てビジネスへの還元を強く意識するようになったという。当時は「プロモーション」「ビジネス」「CSR」「インナー」という4つの軸を設け、それぞれの領域で取り組みを展開していた。
そして大会後、社会全体でサステナビリティへの意識が高まる中、日本生命でもサステナビリティ経営が本格的に始動。その理念を推進するためのスポーツは重要な手段として捉え直すことになる。
日本生命では、スポーツの力を生かしてサステナビリティ経営の推進に貢献するという考えのもと、スポーツ界のサポートをそのドライバーの一つとして明確に位置づけている。
日本生命の特設サイト「Play, Support. さあ、支えることを始めよう。」のスポーツへの想いより抜粋
同社は2025年2月、JOCと日本パラスポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)が連携して展開する新たな「TEAM JAPANパートナーシッププログラム」において、初めてのゴールドパートナーとなった。この契約は、2028年のロサンゼルス五輪終了後の同年12月末まで続く。
JOCとJPCが一体となって活動を推進する流れは、以前からバスケットボールや車いすバスケットボールなど、垣根なく競技を応援してきた日本生命の活動とも共鳴するものだったと杉本氏は語る。日本生命も、分け隔てなく一つのスポーツとして盛り上げていくという考え方を持っていたからだ。

