トヨタが横浜・山下ふ頭に “没入型ミュージアム” を開催した理由とは?

「文化教育発信施設」を掲げ、横浜で “場づくり” に踏み出した理由

横浜の山下公園に隣接する臨海部で、イマーシブ(没入体験)をテーマにした期間限定のアート展が開かれている。主催はトヨタ自動車などトヨタグループ。イマーシブ・ミュージアム「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」(ザ・ムービアム ヨコハマ)と題し、3月31日まで開催する。約1800平方メートルの巨大空間で、音と映像に包まれる没入型芸術体験を提供する取り組みだ。

トヨタグループは、横浜の歴史や横浜市が掲げる「文化芸術創造都市施策」の理念に共感し、“移動と感動” の「MOVE」を提供するための「場づくり」として開催すると説明。会場は山下ふ頭の4号上屋で、上屋エリア一帯をアートスペースとし、回遊性を高める移動サービスも展開することで、横浜・山下ふ頭エリアの賑わいづくりへの貢献をうたう。

オープニングに際しトヨタ自動車の豊田章男会長は、「未来の文化作りにおいて大切にしたいことは、ど真ん中に人を置くこと」「MOVEには移動に加えて感動するという意味も含む」などとコメントし、横浜で世界の文化を体感し、人の心を動かす器に育てたい意向を示した。

施設名の「MOVEUM(ムービアム)」は造語で、「“MOVE(動き)” を生み出す “MUSEUM”」という意味を込めたもの。心やからだ、社会、未来へと、さまざまな新しい “MOVE” が生まれる場所になるよう名付けた。

旧港湾施設 × 映像・音響でつくる没入体験

施設の企画運営を行うトヨタ・コニック・プロによると、設計・施工面での大きなポイントは「横浜の歴史的建造物である山下ふ頭4号上屋を活用した空間」であること。会場では、音と映像に包まれる没入体験によって鑑賞者が作品の一部となる一体感や画家の視点を追体験できる設計を意識したという。そのための設備として、会場には合計75台のプロジェクターと27台のスピーカーを用意し、倉庫全体に響く「圧倒的な映像体験、音楽体験」を目指した。

開幕時のプログラムは2本立て。ひとつは、世紀末ウィーン芸術をテーマに、グスタフ・クリムトからエゴン・シーレまでを表現した「美の黄金時代」。クリムトの主要な名作約170点とシーレの名作約110点が音と映像に包まれる。また1月22日からは、フランスの文化遺産と卓越した職人技を体現する15点の彫刻の展示も開始し、アート体験を拡張している。

クリムトが描いた生命、愛、黄金、死といった人間の本質的なテーマを音楽、色彩、動き、空間デザインが融合した5つのテーマを通して感覚の旅へと誘う

シーレ独自の緊張と孤独をたたえた作品をもとに、動乱のウィーン世紀末の内なる不安を視覚化した表現主義の世界をたどる

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