重要性増す個人投資家 これまでとは異なる情報発信や関係構築が必要

電通PRコンサルティングは2025年12月、ミンカブ・ジ・インフォノイドと共催で「個人投資家に響くIR情報発信戦略」セミナーを開催した。個人投資家の存在感が高まるなかでの情報発信のあり方を議論した。

当日の登壇者は以下の通り。

・個人投資家 テスタ氏
・第一生命ホールディングス 齋藤 信也氏
・三菱UFJ信託銀行 市橋 哲也氏
・京都アカデミア法律事務所 岡本 哲也氏
・ミンカブ・ジ・インフォノイド 熊取谷 重徳氏
・電通PRコンサルティング 坂本 陽亮氏

「議決権」「安定株主」「ファン化」への期待

冒頭、電通PRコンサルティング代表取締役社長の山口恭正氏は、個人投資家数が拡大している現状に言及。「貯蓄から投資へ」の流れが定着する中、企業は個人投資家をどう位置付けるべきかが問われていると述べた。

その後、登壇者らによるトークセッションを実施した。

まず、個人投資家を取り巻く状況について市橋氏は、企業側が個人投資家に期待する役割として、①議決権行使、➁政策保有株縮減の受け皿、➂株価の下支え、➃商品・サービスのファン化の4点を提示。一方で、機関投資家と異なり、個人投資家は「会社が好き」「商品を使っている」といった感情面での動機も強いとし、従来のIRとは異なる視点が必要との認識を共有した。

若年層拡大で「わかりやすさ」が課題に

齋藤氏は、株式分割や株主優待導入、オンライン説明会などの取り組みを紹介。NISA拡大により投資層が広がる中、「従来型の情報発信が通用しなくなっている」と課題感も示した。

個人投資家であるテスタ氏は、これまでの企業側の発信について「専門用語が多く、初心者は最初の一歩で離脱する」と指摘。平易な言葉や動画活用、エンタメ性の導入の重要性を強調した。

SNS活用は「挑戦」が前提

岡本氏による法務セッション「SNS時代の “情報発信” の法的なポイント」などを挟んだのち、質疑応答では、SNS、とりわけXでの発信のあり方が議題になった。

適時開示情報やプレスリリースなど、「情報を取りに行く意思」がある人が目にする媒体とは異なり、SNSは意思とは関係なく流れてくるものであるため、より分かりやすい発信が重要になるとの指摘があった。単なる適時開示の転載ではなく、「要約・解説付き投稿」や「企業の個性を生かした発信」がフォロワー獲得につながるという。また、「説明会は既存株主向けになりがちで、新規層獲得には別のアプローチが必要」との指摘もあり、リアル施策とデジタル施策の併用が望ましいとの見解も聞かれた。

最後にテスタ氏からは「最初の一歩を踏み出すことが重要。SNS世代が増える中、先行して取り組む企業にメリットがある」との呼びかけもあった。

個人投資家の裾野拡大が続くなか、IRは “情報開示” から “関係構築” へと軸足を移しつつある。企業側の試行錯誤は今後も続きそうだ。

advertimes_endmark

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ