引地耕太さんと科学未来館担当者が語る 「みゃくみゃくとつなぐ展」開催のきっかけとは【前編】

日本科学未来館(東京・お台場)で2月18日、「みゃくみゃくとつなぐ展 ~万博とひらく未来~」が開幕した。会期は4月13日まで。会場は1階シンボルゾーンで、入館料は無料。

会場の中央、「ジオコスモス」の真下に設置された、「こみゃく」の二次創作作品とそこから生まれてくるたくさんの「こみゃく」たち(詳細は【後編】にて)。

同日開催されたメディア向けの説明会にて、本展の企画を担当した同館 科学コミュニケーション室の宮原裕美氏と大阪・関西万博のクリエイティブディレクターである引地耕太氏がトークセッションを実施。ここでは会場で語られた内容の前半をお届けする。

日本科学未来館 科学コミュニケーション室の宮原裕美氏、大阪・関西万博のクリエイティブディレクター 引地耕太氏。

「みゃくみゃくとつなぐ展」開催のきっかけ

宮原:早速なんですが、これかわいいですね。実は展示会場から持ってきちゃったんですが。

壇上に置かれた「こみゃく」の二次創作作品。

引地:かわいいですね。これはなんでしょう、なんて(笑)。ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、昨年の万博の閉幕間際に京都と大阪でデザインシステムの展覧会を開催しました。そのうち大阪での開催時に、来場された皆さんがこのような手づくり「こみゃく」の二次創作作品をたくさん持ち込んでくれて。勝手に置いていってくれたんです。それがまるでミャクミャクへの奉納のようで、僕らは勝手に「奉納物」と呼んでいました。それを大切に保管しておきまして、今回の会場にもたくさん持ってきました。

会場に設置された「こみゃく」の二次創作の数々。

宮原:改めて振り返ると、この展覧会が始まるきっかけとなったのは、まさにその京都dddギャラリーでの展覧会でした。「モダン・エキスポ・ポスターズ:グラフィックでみる現代的万博」展の一部で、デザインシステムに特化したコーナーが設けられていたんですよね。当時デザインシステムや「こみゃく」への熱狂も非常に高まっていた時期で、私も興味を持ち、会場にうかがったんです。その時点ではまだ当館で万博の展示をするとは決まっていませんでした。

引地:ありがとうございます。今日(「みゃくみゃくとつなぐ展」開催初日)は朝6時半から並んでくださった方もいましたが、当時もすごく多くの方に並んでいただいて。

宮原:すごい行列でしたが、私は実は3番目に並んでいました(笑)。でもその時に、関西でのこの熱狂があんまり関東に伝わってないなっていうのを感じていまして。引地さんに「東京でもデザインシステムの展示をやる予定はないんですか?」って聞いたんですよね。そしたら、「いやー、やりたいんですけどね。科学未来館さん、展示できる場所ないですか?」みたいな会話から始まっていきました(笑)。

引地:たしかに、そうでした(笑)。

展覧会実現のきっかけを語る宮原さんと引地さん。

宮原:科学未来館で万博の展示を開催するのであれば、技術の展示をする、というのが王道ではあるのですが、当館が掲げている「あなたとともに『未来』をつくるプラットフォーム」というビジョン(2021年4月発表「Miraikanビジョン2030」より)と、引地さんが掲げる「OPEN DESIGN」が、非常に親和性が高いなと思って。やはりぜひ展示をしたいな、と。「作戦考えますんで」という感じで一旦東京に帰りました(笑)。

引地:まさか本当に検討していただけるとは、驚きました(笑)。

宮原:その後いろいろと考えまして、デザインシステムも含むこの展覧会自体を引地さんにクリエイティブディレクションやアートディレクションの面で関わっていただき、「参加型」を体現した展示にまとめたいと思いまして、改めてオファーをさせていただきました。

引地:とても嬉しかったですし、科学未来館さんのビジョンは、「参加」と「協創」を促すという万博のデザインポリシーの中で掲げている言葉とも共鳴するところがあった。僕自身も科学未来館さんが大好きなので、ぜひという形でお受けしました。

「こみゃく」が自分の手から離れていったことが

「文化」となるきっかけだった

宮原:冒頭でも触れましたが、SNSでも二次創作がたくさん公開され、引き続き「こみゃく」現象が盛り上がっていますよね。その始まりを振り返ると、「こみゃく」というのは、SNSから生まれた言葉なんだとか。

引地:そうですね。今となっては当たり前のように「こみゃく」と呼ばれていますが、もともとはデザインシステムにおける「ID」というデザインのひとつのエレメントでした。SNSで次第に自然発生的に「こみゃく」という言葉が生まれたんです。「ミャクミャク」の小さい版だとか、個の命だから、とか、さまざまな視点があって。最初はびっくりもしましたけど、かなり嬉しかった。

作者の視点から今振り返ると、「作品」を超えて「文化」になる、その始まりだったと思うんです。文化をつくるには、自分の手から離れていくということが、実は非常に大切。「参加と協創を促すプラットフォーム」が自走し始めたきっかけだったと思います。

会場では、各ブースにこうした問いかけを設置。二次創作の展示ブースには、「こみゃくはだれのもの?」という問いが。

宮原:会場でも「こみゃく」の二次創作を展示しているのですが、まさに人間のクリエイティビティの爆発です。一つひとつのアイデアも素晴らしくて。

引地:「八百万の生命」と呼んだりしているんですが、「目玉さえあればいい、あとは自由である」という最小限の制約によって、無限の創造性が引き出される仕組みになっているのかなと思います。

【後編に続きます】
※後編では、会場のこだわりや引地耕太さん一押しの「見どころ」を紹介します。

発表会の最後には、ミャクミャクが登場し、開催をお祝いする場面も。

ハイタッチをする引地さんとミャクミャク。

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