生成AIが変える分析業務
松本氏は、生成AIを活用した業務の進め方を例に挙げた。GA4のデータ整理、MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)の仮説構築、英語論文の要点整理、定性調査の初期分析など、従来は時間を要した工程を、ClaudeやChatGPTといったツールで短縮できるとした。定性調査のコメント分析については、生産性が5〜8倍になったと述べた。
EVERRISE 執行役員CMO 松本健太郎 氏
一方で、生成AIが担える範囲についても整理した。データ分析の価値を「データ」「情報」「知識」「インサイト」「知恵」の5段階で捉えたうえで、2026年時点の生成AIは「データ」を「情報」に変換する工程を中心に扱いやすいと位置付けた。
例えば「X(旧Twitter)での反響はAが20万件、Bは5万件」といった整理はAIでも可能だとする。その一方で、施策や市場環境の文脈を踏まえ、「過去のプロモーションと比べて反響が少ないのは、製品の魅力が伝わっていない可能性がある」といった解釈(インサイト)を導き、次の打ち手に落とし込むには、文脈理解が重要だと述べた。
「情報」と「知恵」の間に横たわる組織の壁
この点は組織運営にも関係すると松本氏は指摘する。経営層が求めるのは意思決定に使える「知恵」だが、現場から上がってくる内容が「情報」にとどまると、分析が成果につながりにくくなるという。
松本氏は「数字に詳しいだけでは情報は知識にならない」とし、情報を知識やインサイトに変換するには、施策の背景、市場構造、業界知識などの文脈理解が必要だと述べた。一方で、戦略・戦術・実行の担当が分かれている組織では、分析担当者が事業全体の知見を持ちにくく、改善サイクルが回りにくくなる構造があるという。
職種の壁を壊す生成AI
生成AIの登場により、これまで職種ごとに分かれていた業務の境界が変わりつつあるとも指摘した。AIが作業を代替することで、求められる役割が「作業を実行する力」から「結果をレビューし、方向性を判断する力」へ移るという見立てを示した。
その結果として、戦略に詳しい担当者が生成AIを使い、分析から実行まで関与するケースが増える可能性があると述べた。技術、プロダクト、マーケティング、営業などの知識を横断し、分断された業務をつなぐ動きが強まる中で、マーケターには戦略から実行までを一貫して扱う「兼務」の発想が必要になるとした。
手を動かすか、さもなくば辞めるか
生成AI時代のマーケティングのあり方とは
松本氏は、今後を「手を動かすか、さもなくば辞めるかという時代」と表現した。外部に任せきりにしたり、管理中心になったりするだけではなく、自らも手を動かしながら専門家と協業する形が増えるとの見方を示した。
生成AIが分析作業の一部を担う中で、マーケターの役割は、戦略理解を前提に「情報」を意思決定に使える形へ整理し、実行へつなげる点に置かれる。講演では、戦略と実行を分けずに扱うことが、今後のテーマになるとまとめた。
EVERRISEは「AI駆動開発で顧客の成功を支える」ことを2026年の重要課題として取り組むテクノロジー企業。創業当初からアドテク領域で培った「超大量アクセス」「超大量データ」「高可用性」に関するシステム構築技術を背景に、企業のDX支援を行っている。取引先として日本テレビ放送網、スカパーJSAT、DMMなどを挙げている。

お問い合わせ
株式会社EVERRISE
担当:寺沢
E-mail: info@ever-rise.co.jp


