AIによる人形浄瑠璃や死生観をモチーフにした作品が展示、文化庁メディア芸術「ENCOUNTERS」開催

文化庁は、次世代のメディア芸術分野を担う若手クリエイターの創作活動を支援する「文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業」の成果発表イベントとして「ENCOUNTERS」を2月28日から3月8日にかけて開催している。開催に先立ち、2月27日にはプレス内覧会と開会式が同イベントを開催するTODA HALL & CONFERENCE TOKYO(東京・中央)にて行われた。メディア内覧会で紹介された採択クリエイターのコメントや作品を一部レポートする。

開会式にて、都倉俊一文化庁長官や採択クリエイター、国会議員など列席者一同

40組の採択クリエイターが示す、メディア芸術の現在地

成果発表イベント「ENCOUNTERS」は、今年度採択された40組のクリエイターによる創作・発表活動の成果やワークインプログレスを紹介する展覧会である。昨年度は8000人を超える来場者があり、今年度も同等の来場を見込んでいる。本展では作品の完成展示にとどまらず、コンセプトメイキングや表現技法、試行錯誤の制作プロセスも併せて紹介することで、作品が生まれる裏側に迫る。

展示作品は、アート、アニメーション、ゲーム、マンガなど多岐にわたり、既存の枠にとらわれない多様な表現が集結した。その中から、独自の視点でテーマを探求する2組のクリエイターの作品を紹介する。

創作支援プログラムに採択された岸裕真さんは、作品「xoxo-skeleton」を通じて、AIと人間の新たな共生関係を模索する。この作品は、鑑賞者が装着する骨格状のデバイスの先端に24個のセンサーが取り付けられており、温度、湿度、空気質、赤外線といった「人の目には見えない情報」を収集する。

「それをインプットとして24個のLLMが走っていて、各LLMが例えばクリオネや藻などいろんな生物の動きを模した人の動きを生成する」と説明する。生成された複数の動きは、さらに別の「メタなAI」によって一つに選択され、最終的な身体の動きとしてアウトプットされる。

このプロジェクトの着眼点は、言語を介したコミュニケーションが主流となっているAIとの関わり方に対し、「言語だけではなく、身体を介したAIとの共生」を探ることにある。岸氏は「AIに操られてるのではないかなど不安の声を聞く。ではいっそのこと、操られてみたらどうなるのか実験をしてみた」と語る。目指すのは、単なる操り人形ではなく人形浄瑠璃であり、AIと人間が調和した伝統芸能のようなあり方だという。

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