売り場統一など店舗オペレーションも加速
新業態店の展開やリカバリーウェアで注目を集めるワークマンが、新たな経営体制に移行する。4月1日付で取締役商品本部長の大内康二氏が代表取締役社長に就任する。現社長の小濱英之氏は、6月開催予定の定時株主総会終結をもって任期満了により取締役を退任する。
ワークマンは近年、作業着専門店のイメージを打ち破り、カジュアル市場でも存在感を高めてきた。大内氏が主導してきたのが「Workman Colors」に象徴されるカジュアル化と、リカバリーウェアなど重点商品を軸にした「マス化製品戦略」。現在のワークマンの成長をけん引してきたこの「大内路線」を、トップ就任後も加速させる。同氏にこれまでの振り返りと今後の施策を取材した。
現・商品本部長で、4月1日に社長に就任する大内康二氏
大内氏は1996年に入社し、2010年にはスーパーバイズ部西日本エリア近畿・中国・四国ブロック部長代理を務めた。その後、2015年以降は商品部門に移り、商品部長や商品本部長兼生産管理部長などを歴任した。
従来のワークマンは、ある程度のアイテム数を用意し、店舗に商品を投入しながらシーズン内で消化していく、「小売業的な発想」を優先してきた。在庫リスクを抑えつつ、多様な商品を幅広く展開する手法だ。
これに対し、新体制では、リカバリーウェア「MEDiHEAL」(メディヒール)、「XShelter」など、1つの商品を大量生産し、売り場と販促を連動させながら販売していく、大手アパレルメーカーのような「メーカー的な発想」へと舵を切る。2028年3月期には、全売上の5割を重点5製品で占める計画。2026年1~8月の5製品の販売数は合計2475万点で、販売金額は520億円規模を見込む。
PRにおいても、1つの商品に焦点を当てた戦略が必要になるとの考えから、マス広告、SNS、全国の販売網を組み合わせた総合的な販促を実施する考え。「メディヒール」では、同社にとって約6年ぶりのテレビCMを3月11日に放映する。
現在のワークマンを形作った「大内路線」
人気沸騰中のリカバリーウェア「メディヒール」
大内氏主導のもと、ワークマンは2018年の「WORKMAN Plus」1号店の開店や、2020年の「#ワークマン女子」の開店など、業態ごとの専売化とカジュアル商品の展開に力を入れてきた。
IR資料によると、WORKMAN Plus以前もチェーン全店売上高は減収基調ではなく、横ばいに近い微増から緩やかな成長を続けていたが、新業態店のオープン以降は成長がさらに加速。2018年3月期のチェーン全店売上高は797億円で前期比7.3%増、既存店売上高は4.7%増だったが、2019年3月期は、チェーン全店売上高が930億円で16.7%増、既存店売上高も14.0%増に伸びた。
2020年3月期もチェーン全店売上高が1220億円で31.2%増、既存店売上高は25.7%増。さらに2021年3月期もチェーン全店売上高は1466億円で20.2%増を維持し、月次累計ベースの既存店売上高も通期で14.2%増となっている。
もっとも、同氏は「すべてがうまくいったわけではない」と語る。たとえば、2022年に発売した「アウトドアギア」(テントなどのキャンプ用品)は、1年半で売上60億円まで伸ばしたものの、市場規模が小さく、限られた店舗スペースの中で将来性を示せないと判断し、1年半で撤退した。成長領域を広げる一方で、見切りをつける判断も早かった。
また、カジュアル化による需要増に伴い、欠品や品薄への批判も増えた。2025年9月に開催した秋冬新製品発表会で、専務取締役の土屋哲雄氏は、断熱素材を採用した「XShelter」が想定以上の人気を集め、2024年にオンラインで先行販売した2万点がわずか4日で完売したと説明。転売によって2倍以上の価格で取引されるケースも見られたという。
2025年9月1日に一般向け販売を始めたリカバリーウェア「メディヒール」も同様だ。品薄対策として大量生産を行っていたにもかかわらず、想定を超える需要により、わずか20日間で完売した。そこで同社は、2026年に目標販売数2100万着、販売金額350億円という大幅増産に踏み切った。

