東京コピーライターズクラブ(TCC)が主催する、コピーの最高峰を選ぶ広告賞「TCC賞」。その入賞作品と優秀作品を収録したのが『コピー年鑑』です。1963年に創刊され、すでに60冊以上刊行されています。
広告クリエイターを目指す人や駆け出しのコピーライターにとっては、コピー年鑑は憧れの存在であり、教材であり、自らを奮い立たせてくれる存在でもあります。TCC会員の皆さんは、コピー年鑑とどう向き合ってきたのか。どう活用しているのか。今回は、2025年度のTCC新人賞を受賞した佐藤潤一郎さんです。
若い頃、私はそれを食い入るように眺めていた。
言葉で時代を彩り、決めた人たちの決勝ゴールを。
18歳でサッカー選手の夢に破れ、大学を出て制作プロデューサーになった。
20代のある日、「眞木準コピー新発売」を読み、撃ち抜かれた。
次は言葉で勝ちたい、と思った。
それから(かつての)吉田秀雄記念広告図書館に通い、コピー年鑑を端から端まで読んだ。
気になるページは全部コピー機で残した。いくら小銭を使ったのか、思い出したくないほど。
年鑑の中の人たちは、まさに憧れのスター選手だった。
洒落ていて、一癖も二癖もあって、とにかくカッコよかった。
自分も載りたかった。でも当時は、応募するものも、勇気もなかった。
「こいつら全員土地狂ってる(地面師たち)」。
これで昨年、新人賞をもらった。49歳で、新人。
ちょっとダサい。でも、ウザ強くて、私らしい。
2025年、ようやく年鑑に自分の名前が載った。
初めて載る側になれた。うれしかったなあ。
ついにAIの時代が来た。
言葉は誰もが容易に生成できる道具になった。
それでも、人の心を突き動かす一行は、
人が本気で書いた言葉であって欲しいと、願ってやまない。
かつて、「ウイスキーがカッコよくなくて、何がカッコいいんだ。」 というコピーがあった。
私は思う。「コピーライターがカッコよくなくて、何がカッコいいんだ。」 と。
年鑑は、派手なゴール集だ。
でも同時に、あきらめなかった人たちの記録でもある。
また載りたいし、また載せたい。できれば、今年も。

