AIに選ばれる時代へ 集客・接客・ファン化を再定義するCX戦略

NTTデータ先端技術は2月17日、18日に都内で開かれた「KAIGI GROUP フォーラム」(宣伝会議主催)で、生成AI時代のマーケティングにおけるカスタマーエクスペリエンス(CX)の進化について講演した。同社の安部太二氏は、企業の生成AIへの投資が加速する中、流行で終わらせずに具体的な施策に落とし込むための実践例を解説。「集客」「接客」「ファン化」というマーケティングの各プロセスにおいて、AIをどのように活用できるかを、デモンストレーションを交えながら具体的に示した。

2026年には日本企業の95%が生成AI投資

日本企業で生成AIを業務活用している割合は17%に留まる一方、2026年までに生成AIと自動化への投資を拡大し、さらなる機能強化の計画を持つ企業は95%に上るという。安部氏は今後、企業の生成AIへの投資が加速していくとの見方を示した。

また、生成AIの適用領域に関する調査結果として、特にマーケティングやカスタマーサポートの領域で利用価値が高いと予測されていることを紹介。「学習履歴などのデータを活用した顧客体験の向上は、生成AIと相性がいいと言われています。今後、CX領域における生成AIの活用は、ますます加速していくと考えています」と述べた。

NTTデータ先端技術 デジタルビジネス事業本部 グローバルテクノロジー事業部 担当課長 安部太二 氏

NTTデータ先端技術 デジタルビジネス事業本部 グローバルテクノロジー事業部 担当課長 安部太二 氏

集客・接客・ファン化のプロセスをAIでどう進化させるか

続いて安部氏は、マーケティングの実行プロセスを「集客」「接客」「ファン化」の三つに大別し、それぞれのフェーズで企業が抱える典型的な課題と、それに対するソリューションの全体像を解説した。

集客フェーズでは「オウンドメディアのアクセス数が伸びない」「AI検索に対応できていない」、接客フェーズでは「カスタマーサポートの応対品質が悪い」「コンバージョン率が低い」、さらにファン化フェーズでは「SNSなどで得られる顧客の声を活用できていない」「再訪してもらう仕組みがない」といった課題が挙げられた。

これらの課題に対し、AIを軸とした三つのソリューション、すなわち集客を強化する「AIO(AI Optimization)」、接客を高度化する「カンバセーショナルAI(対話型AI)」、ファン化を支援する「マーケティングオートメーション」に焦点を当てて解説が進められた。

マーケティングの各プロセスにおける課題と、それに対するソリューションの全体像

マーケティングの各プロセスにおける課題と、それに対するソリューションの全体像

検索の起点がAIに変わる、AIに選ばれるための最適化

最初のテーマは「AIO(AI Optimization)」である。安部氏は、検索の起点が従来の検索エンジンからAIへとシフトしている現状を指摘した。Googleなどの検索結果の上部にAI生成の回答が表示されるようになり、ユーザーはその回答で満足してしまい、下の検索結果一覧までスクロールしない傾向が強まっているという。「今後はAIの回答に選ばれる対応が必須の条件になります」と強調。この対応が遅れれば、検索流入の機会や顧客接点を競合に奪われるリスクがあると警鐘を鳴らした。

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その解決策として紹介されたのが、アドビが提供する「Adobe LLM Optimizer」である。このソリューションは、自社サイトがAIにどれだけ認識され、回答に引用されているかを可視化し、さらにどの部分を改善すればAIに読み込まれやすくなるかを提案する機能を持つ。

デモでは、Google Chromeの拡張機能「AI Content Visibility Checker」を使い、自社サイトがAIに読み込まれている割合を簡易的に分析。続いて、「Adobe LLM Optimizer」のダッシュボード画面を用いて、架空のコーヒーショップのサイトを分析する様子を示した。AIの回答の中に自社ブランドが言及・引用された回数や、競合との比較、さらにはユーザーが実際に入力したプロンプト(指示内容)に対して自社コンテンツがどの程度貢献したかといった点まで可視化できることを紹介した。

AIの回答におけるブランドの言及・引用状況を可視化する「Adobe LLM Optimizer」のダッシュボード

AIの回答におけるブランドの言及・引用状況を可視化する「Adobe LLM Optimizer」のダッシュボード

24時間いつでも相談・最短で解決できるから顧客満足度も向上

次に紹介したのは、接客領域における「カンバセーショナルAI」だ。これは、会話の文脈を理解してコミュニケーションを行うAIテクノロジーを指す。エンドユーザーにとっては「24時間いつでも相談できる」「知りたい情報に最短でたどり着ける」といったメリットがあり、企業側にとっても「オペレーターの業務負荷軽減」「対応品質の均一化」につながる。結果として、顧客満足度の向上とカスタマーサポートのコスト削減が実現可能となる。

NTTデータでは、こうした接客領域の高度化に向け、AIエンジンを活用したカスタマーサポート業務変革サービス「LITRON Customer Engagement」を展開している。このサービスの設計思想は、従来のオペレーション中心の業務をAIが担い、人はより戦略的で高付加価値な業務へスキルシフトするというものだ。

デモ動画では、音声対話によるレストラン予約と、テキスト入力によるビルメンテナンス受付の二つのシナリオが披露された。レストラン予約のデモでは、ユーザーが途中で「やっぱりお寿司がいい」と要望を変えたり、会話に割り込んで別の店舗名を挙げたりしても、AIが文脈を理解してなめらかに対応する様子を紹介した。

AIが実現する「おもてなし」の本質

最後のテーマは、ファン化を促進する「マーケティングオートメーション」である。安部氏は、ユーザーは一斉配信された情報ではなく、自分に合った情報を適切なタイミングで提供してくれる企業に信頼を寄せ、ファンになるという考えを示した。

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この「パーソナライズ」の本質について、居酒屋の例えを用いてわかりやすく解説。「次にその店を訪れたときに、前に自分が注文した内容を覚えていてくれて、好みに合った旬のメニューを勧めてくれたら、『自分のことをわかってもらえている』と感じ、また行きたいと思うのではないでしょうか。そういったおもてなしを偶然ではなく仕組みとして実現させることがCXの差につながります」と安部氏は語った。

さらに、ルールベースのパーソナライズとAIによるパーソナライズの違いについても言及。前者が「前回ビールを注文したから今回もビールを勧める」のに対し、後者は「今日は気温が低い」「その人は日本酒に関する記事をよく読んでいる」といった多面的な情報や状況を踏まえ、「今回は日本酒の熱燗を提案する」といった、より高度な先回りの提案が可能になると説明した。

ソリューションとしては、適切なタイミングでメッセージを送信する「Adobe Marketo Engage」と、Webサイト上でパーソナライズを実現する「Adobe Target」を紹介した。デモでは、架空のシューズメーカーのサイトを用い、ユーザーが保存した商品と同じカテゴリーの売れ行きの良い商品をレコメンドしたり、他の顧客の購入実績をもとに次におすすめの商品をメールで提案したりする様子が示された。

最後に安部氏は、NTTデータ先端技術の強みとして「マーケティングテクノロジーとカスタマーサポートシステムのトータル提供」「AI機能などの先進技術力」「グローバルプロジェクト対応力」の三つを挙げた上で、「皆様のマーケティングの未来を、一緒に創らせていただきたい」と締めくくった。

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株式会社NTTデータ先端技術

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