「最前線」に直面し続けた約半世紀
新人類世代は高度経済成長期の1955 年から1964 年に生まれ、2026 年現在ではすべての人が還暦を迎える世代です。彼らが「新人類」と呼ばれるようになったのは1980年頃、今の令和シニアが20歳前後で新社会人としてデビューした頃です。一つ上の団塊世代は戦後を生き抜いてきた世代であり、それと比較して全く異なる価値観を持った世代であるとして、メディアで「新人類」と呼ばれるようになっていきました。
「新人類」の名が環境変化の激しい人生を引き寄せたかのように、令和シニアは日本社会のいくつもの大きな変化を当事者として体験してきました。まばゆい高度経済成長期の時代に生まれ、若者として働く1990年前後にはバブル景気とその崩壊を経験。さらに2000 年前後には、中堅社会人として働くなかで世界的なデジタル革命の波に飲み込まれていきます。このように、人生のいたるところで、これまでの世代が経験してこなかった「最前線」に立たされ続けたのが令和シニアなのです。
本記事では、令和シニアが生きてきた【幼少期】【若年期】【壮年期】の中でも、最も社会の価値観が揺れ動いた【壮年期】を取り上げます。
『THE FRONTLINE GENERATION 令和シニア なぜいまZ世代マーケターは60代に「未来」を見るのか?』博報堂ストラテジックプラニング局、Hakuhodo DY ONE著
令和シニアの壮年期:古き良き社会と家族像の解体と再構築
令和シニアが働き盛りの30代を過ごした1990 年代は、経済の視点でいえば「失われた10年」と呼ばれる時代です。1990年代初頭のバブル崩壊に端を発し、バブル期とは打って変わって株価も不動産価格も急落。経済全体が長期の停滞に陥りました。
その後、1990年代半ば頃からは、採用抑制をする企業が増えた結果、有効求人倍率が1を下回るようになります。その結果、1994 年頃から「就職氷河期」という言葉が世をにぎわせ始めました。既に就職していた令和シニアは、幸運にもこの就職難は免れたものの、社会や会社への信頼や仕事との向き合いに大きな地殻変動が起こったのは言うまでもありません。
また、1997年に改正された男女雇用機会均等法では、募集・採用・配置・昇進いずれにおいても男女均等に扱うことが「義務」となりました。その結果、外で働く男性・家庭を守る女性というこれまでの家族の当たり前もまた、大きな変革期を迎えたのです。

