OpenAIサム・アルトマンらの構想と連携
博報堂DYホールディングスは6月29日、人間認証型アドネットワーク事業を手掛ける新会社「Ads for Humanity」を設立したと発表した。AIエージェント時代の広告配信基盤の構築を狙う。AIやボット、クローラーを排除し、人間にだけ広告を配信する広告商品「Human-Verified Ad」の販売も同日開始した。
新会社は、人間認証技術「World ID」を活用する。World IDは、氏名やメールアドレスなどの個人情報を共有せずに、オンライン上で自身が本物の固有の人間であることを証明できる仕組み。広告配信の対象を認証済みユーザーに限定することで、AIエージェントやボットによる不正な広告接触を排除する。OpenAIのサム・アルトマンCEOが共同創業者を務めるTools for Humanityが発明した技術。AI時代に“実在する人間のネットワーク”を構築し、「人間であることの証明」「金融インフラ」「人と人とのつながり」を提供することを目的としている。
不正詐欺広告がAIエージェントにより加速する
背景にあるのは、アドフラウドへの危機感だ。デジタル広告における広告費の不正詐取被害額は、国内では2024年に約1510億円、グローバルでは約13兆円規模にのぼると推計されている。さらに近年は、生成AIやAIエージェントの普及により、商品の比較検討、広告クリック、フォーム入力までを人間と区別しにくい形で自律的に行う非人間トラフィックが増えることも懸念されている。
同社は、AI検索やAIエージェントによる非人間トラフィックが増えれば、広告が人間に届きにくくなるだけでなく、行動データやクリックなどの効果測定データにも人間以外の行動が混入すると指摘する。こうしたデータをもとに広告配信アルゴリズムが最適化されることで、広告成果が低下するリスクがあるとしている。