映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』の公開に合わせ、日本版主題歌『Brand New』を担当するMrs. GREEN APPLE(以下、ミセス)と映画が一体となったプロモーションを実施。スパイダーマンが糸を出す際のポーズと「I LOVE YOU」のハンドサインを重ねたクリエイティブを皮切りに、渋谷ではファンがスパイダーマンに扮した「WE LOVE SPIDER-MAN」のOOH、ビジョンジャック、センター街のフラッグなどを展開した。
また今回、映画を担当するソニー・ピクチャーズ エンタテインメントと、日本版主題歌を担当するミセス側のユニバーサル ミュージックという、異なる2社のプロモーションをひとつのキャンペーンとして設計。なぜ、この形になったのか。企画を担当した電通の有元沙矢香氏、江波戸李生氏、田中賢一郎氏に話を聞いた。
今回、映画と日本版主題歌という本来別々のプロモーションを、ひとつのキャンペーンとして動かすことになった背景には、Mrs. GREEN APPLEのフロントマンである大森元貴氏のスパイダーマンへの強い思いがあった。
まず課題となったのが、スパイダーマン、そしてマーベル作品への「入口」だ。シリーズが長く続き、作品同士のつながりも複雑になる中、「過去作を見ていないと楽しめないのではないか」と感じる人もいる。そこで、既存ファンだけでなく、これまでマーベル作品に深く触れてこなかった人にも映画を見てもらうことが、コミュニケーション上のひとつの課題となった。
一方、日本版主題歌を担当する大森氏には、別の問題意識があったという。有元氏は次のように振り返る。
「大森さん自身がマーベルもスパイダーマンも大好きだからこそ、日本版主題歌というものの立ち位置自体を問い直していらっしゃいました。本国の映画には別の主題歌があるので、日本だけ別のものを付ければ、マーベルファンからすると“ノイズ”になってしまう。自分だったらそう思う、という話はとても印象的でした」。
だからこそ、日本版主題歌をつくる意味を、単なる楽曲タイアップではなく、「より多くの人に映画への門戸を開く、日本でのプロモーション」と位置付け、さらに大森氏側から、ミセスの楽曲プロモーションと映画のプロモーションを別々に進めるのではなく、同じチームで設計することが提案された。
「私自身、クライアント2社を一緒に、ひとつのキャンペーンとしてまとめていく仕事は初めてでした。ただ今回は、大森さんより『自分たちが幼い頃からずっと好きだった映画だからこそ、一緒に最大限盛り上げたい』という強い思いを伺い、そこから、両方のクライアントと向き合い、そして大森さんと相談しながら宣伝プランを考えることになりました」(有元氏)。
日本版主題歌が“愛情”で決まると、どういうことが起きるのか。それを世の中に示すためのプロモーションを実施した。
スパイダーマンのポーズを「I LOVE YOU」に
では、映画と楽曲をどのようにひとつのキャンペーンへとつないだのか。
