労働人口が減少するなか、企業の競争力を左右する人材育成は重要な課題だ。総合スポーツ用品大手のミズノにおいて、商品の認知から購買までを担うアスレティック事業部では、いかにしてマーケティング人材を育成しているのか。同部署では、異動者などマーケティング未経験者が多い一方で、担当者ごとの得意分野にはばらつきがあるという課題を抱えていた。コンペティションスポーツマーケティング部次長の坂井弘司氏に、社員の自主性を引き出し、学習意欲を高める人材育成と、具体的な取り組みを聞いた。
画一的な研修からの脱却と個別課題への対応
ミズノのアスレティック事業部は、競技スポーツ向け商品から一般生活者向け商品までを手がけ、認知向上から購買へとつなげるマーケティング機能を担う部署だ。事業部全体で約120人が在籍しており、中途採用で経験を積んだメンバーもいるが、新卒や他部門からの異動者も多く、マーケティングは初めての人材も少なくない。
会社全体では人事主催の研修プログラムが用意されているが、同部署ではそれに加えて独自の集合研修を設けている。坂井氏は「外部や人事主催でマーケティングの基礎を学ぶ研修と、専門性のある宣伝会議の講座という二本柱で回しています」と話す。集合研修では、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)をはじめとするマーケティングの入り口である基礎的な内容が中心で、主に部署に配属されたばかりのメンバー向けに構成されている。
一方で、ある程度経験を積んだメンバーは、得意や不得意な領域がそれぞれ異なるという実情があった。基本的なマーケティングは理解していてもSNS周りは苦手という人もいれば、着任したばかりで考え方の基礎からつまずいている人もいる。「画一的な集合研修では、こうした個々のギャップに対応しきれない」という課題を抱えていた。
アスレティック事業部 コンペティションスポーツマーケティング部 次長 坂井 弘司 氏
そこで2022年から導入したのが、宣伝会議の講座だ。「戦略的な内容から実務に即した具体施策寄りの内容まで、幅広いメニューが用意されている点に魅力を感じました。自分の課題や関心に合わせて選べることが、他にはない良さだと思っています」と坂井氏は語る。講師の多くがメーカーや広告代理店の現場で実務にあたっている点も高く評価しており、理論だけでなく現場視点のリアルな話が聞けることが、大きな説得力を生んでいる。
自主性を後押しして生まれる学習意欲の好循環
坂井氏が人材育成において何よりも大切にしているのは、社員の「自主性」だ。自身も以前に宣伝会議の講座を受講した経験があり、「受けさせられた研修はなかなか身につかない一方、自分で受けたいと思って選んだ学びは記憶に残る」と実感している。上司から特定の講座を勧めることはあっても、基本的には自分でメニューを見て、受けたい講座を選んでもらうプロセスを重視している。「そうした自主性を後押しすることが、学習意欲を高めることにつながればと考えています」と坂井氏は語る。
この自主的な学びを組織全体の知見へと昇華させるため、同部署では講座の受講体験の共有をルール化。受講したメンバーには、学んだ内容のサマリーや感想、5段階の総合評価をレポートにまとめてもらう。このレポートを参加者全員と、役職者に共有し、学びを可視化している。
評価は平均でおおむね4.4程度と高く、4か5をつける人がほとんどだという。坂井氏はこの取り組みの成果について、「自分の言葉でアウトプットすることで理解が深まりますし、他のメンバーがレポートを見て『自分も受けてみようかな』と学習意欲を高める、という好循環も生まれていると感じます」と話す。自発的な学びが波及し、部署全体のマーケティングスキルの底上げに貢献している。
実務への還元とAI活用を見据えた今後の展望
自発的に選んだ講座での学びは、少しずつ着実に実務へと還元されている。受講内容が業務に生かされている実感について、坂井氏は「劇的に変わるということはなかなかありません」と前置きしつつも、日々の会話やマーケティングプランの発表の中で「先日受けた講座でこんな話があって」と、学んだ内容に触れるメンバーがいることを明かす。定量的には把握できていないものの、実務に取り入れていると感じる場面は確実にあるという。
さらに、今後注目しているテーマとして坂井氏はAIの活用を挙げる。マーケティング業務におけるAIの使いこなし方は、現在最もホットな話題だ。坂井氏自身も、AIを使ってマーケティングプランやプロモーションプランを作成する講座をすでに受講している。「AIの進化が著しい中、AIを積極的に活用しているマーケターが実際にどのような活用をしているのか、最新事例やノウハウを知りたい」と、今後期待する実践的な学びの形を語った。
ミズノのアスレティック事業部が実践する、個人の課題に寄り添い自主性を重んじる人材育成は、変化の激しい時代において組織力を高める強力な武器だ。個々のスキルギャップを埋め、現場のリアルな知見を実務に落とし込む原動力となったのは、多彩なプログラムから選べる宣伝会議の講座であった。自ら学びを選び取り、業務に還元する文化を根付かせたいすべての企業にとって、大きなヒントになるはずだ。
マーケティングのスキルを向上するために、ミズノ様が活用したのは……
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