世界は、ゲームにできる。〜面白法人カヤックの「手の内をのぞく」其の3〜

昨年に引き続き、面白法人カヤックの「おもしろ突破塾」が9月12日より開講します。本講座は多様なコンテンツを生み出すカヤックの7名のクリエイターから、広告企画やデザイン、新規事業、地方創生など7つの領域を通して、企画を世の中に広げるために必要な発想・共創・選択・届け方のすべてを体験できます。

講座を担当する講師が、カヤックのユニークなコンテンツが生まれる「手の内」について、お届けします。

ネイリストから、カヤックのプロデューサーへ。変わらない「筋肉」

面白法人カヤックで「ゲームフル」チームのプロデューサーを務めている板井綾子です。カヤックには7年前、アルバイトから入社しました。最初はサービス開発や新しい収益の柱をつくる部署で、PMやディレクター職を経験し、そのままプロデューサーに。3年ほど務めた後、今年から事業部長になりました。

もともと、大学で国際経営を学んでいたはずがネイリストになり、そこから制作業界に転身し、気付いたらカヤックのプロデューサーになっていた…という、不思議なキャリアです。よく「全く関係ない異業種転職だね」と言われるのですが、ネイリストの仕事も、お客様の「こうなりたい」と語る要望に対し、自分の持つ技術や知識、ソリューションを組み合わせて形にしてお返しするもの。そういう意味では、今の仕事と本質的に同じです。相手のなりたい姿をヒアリングし、どんな要素を組み合わせればそれに応えられるかを考えてアウトプットする。使っている「筋肉」は、ずっと同じだって自分では思っています。

「ゲームフル」の正体は、行動心理学に基づく仕掛けたち

「ゲーム」と聞くと、日本ではまだエンタメ的な遊びだと解釈されがちですが、私たちが扱っているのは「ゲーム」というエンタメ体験の中に散りばめられた、行動心理学に基づく「人が気づかぬうちに行動を変えてしまう仕掛け」そのものです。それを要素として取り出し、世の中のさまざまな課題に転用していきます。

わかりやすい例で言うと、名刺などにもその手法は使えます。例えば、表には正しい名前を入れ、裏の名前は一文字だけを似た漢字に差し替えてしまう。わざと一部を「間違い探し」風にしてみる。すると相手は名刺の裏表を何度も見比べながら、どこが違うのか探したくなる。この「思わず探してしまう」という体験を通すことで「名前を覚えよう」と意識しなくても、自然と正しい名前が記憶に残るというものです。

これと同じ発想を、もっと大きな社会課題にも応用しています。例えば、水門の点検・修繕をされているIHIインフラスクエア様との「水門アクアリウム」というプロジェクトがあります。点検人材の高齢化と、点検からレポート作成までにかかるコストが課題のひとつでした。

そこで、一般の人にも水門に興味を持ってもらい、水門点検に参加してほしいと考えました。でも、正面から頼むだけでは誰もやってくれません。そこで、ウォークラリー形式のアプリを作り、指定のスポットで水門の写真を撮ると魚が集まって自分だけの水槽ができあがる…という仕掛けに。人には本能的に「集めたい」という気持ちがあります。このプロジェクトはその気持ちを生かして回遊行動に落とし込んだものです。試作段階から目標数の参加人数が集まり、手応えのある事例になりました。

もう一つは、自動車モビリティ関連会社のJTEKT(ジェイテクト)様の事例です。JTEKT社が持っている何百もの要素技術。この要素技術を組み合わせることで、モビリティを超えて社会課題を解決できることを伝えたい、というお題でした。しかし、テキストで専門用語を並べたところで誰も見てくれないし理解もしてくれません。そこで私たちは、要素技術を組み合わせて敵を倒すカードゲーム風のコンテンツを作りました。ジャパンモビリティショーのブースで「技術AとBを組み合わせて敵(=社会課題)を倒す」というゲーム体験に子どもたちが夢中になってくれて、目標を超える体験人数を記録しました。

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