突然ですが、クイズです。
Q.スーパーを歩いていたら、こんな表示を見かけました。より多くのお客さんに選ばれる商品はどちらでしょう?
A. 新商品! たくさんの素材が入ったフルーツジュースです。
B. 少ない素材でできたフルーツジュース、新発売です。
※Kim et al.(2026)をもとに筆者作成、編集部がAIにより着色
答えの前に、自己紹介をさせてください。私は、元博報堂のブランドコンサルティング部門の部長で、今は法政大学経営学部の准教授としてマーケティングの教育と研究をしている岡田庄生といいます。このコラムは、私が日々読んでいる論文の中から「面白い!」「実務で使えそう!」と思ったものを紹介していきたいと思います。
素材の数が少ないと「加工が少ない」「自然」と感じる
今回のテーマは「食」です。街中で、こんな表示を見かけることがあります。「15種類のスパイスを使った本格インドカレー」「20種類の素材を使ったスムージー」。なんだか、美味しそうだし、体に良さそうですね。一方で、なるべく添加物の少ないものを選びたい、素材の数は少ない方が良い、と思っている人も少なくありません。
では、素材の数が多い場合と少ない場合、結局はどちらの方が消費者に選ばれるのでしょうか。そんなモヤモヤを解決してくれるのが、香港中文大学のキム先生らの論文、「Less Is More (Natural): The Effect of Ingredient Quantity Framing on Consumer Preferences」(少ない方がより“自然”:素材数フレーミングが消費者の推論に与える効果)です。
この論文では、さまざまな実験を通じて、素材の数が消費者の評価に与える影響を調べています。冒頭で出したクイズもこの論文の実験の1つをもとに作ったもので、より「買いたい」と思われたのはB、つまり「少ない素材」と書かれたジュースでした。また、このような傾向は、グラノーラ、ブラウニー、シリアルバーなど、幅広いカテゴリーで確認されています。
<図>
素材の数による購買意図の違い(ジュース)
※Kim et al.(2026) をもとに筆者作成
素材が少ない方が好まれる理由と実体験
では、なぜ素材が少ない方が好まれるのか?その背景には2つの推論が働いているようです。1つは「加工の少なさ」、もう1つは「自然」です。消費者は、「素材が少ない」という表示を見ると、頭の中で、「きっと加工のプロセスが少ないだろう」と予測します。そしてその結果、「より自然で、素材本来の状態に近いのだろう」と感じ、「買いたい」という気持ちが高まるのです。

