従業員による不適切なネット書き込みの影響力を検証――閉店やブランド否定につながる従業員のネット書き込みは致命的リスクか?(上)

twitterの風評の起爆剤としての効果は予想以上

twitterはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の中でも最速の伝達媒体であり、twitterから発信された「つぶやき」のリツイートに連鎖するfacebookへの転載、さらにfacebookでのシェアなどを通じて拡散する風評連鎖行動は、この数年で飛躍的に拡大している(図1参照)。

図1:ねずみ算式に拡散する風評情報
(出典:デロイト トーマツ 丸山満彦氏「ソーシャルメディア・リスク入門」より加筆修正)

従業員によるネットへの不適切な書き込みの代表的事例は、2011年8月29日にtwitterに書き込まれた日本新薬の「社員が懇意にしている薬局からハルシオン後発品を不正に入手し飲み会の時にお酒に入れた」とされる事件だろう。9月5日の日本新薬のホームページでの「

ネット書き込みに関するお知らせ

」は今でも確認可能であるが、結果として書き込んだ女性従業員は、直接目撃・体験したものではなく、事実関係にも誤りがあり、当該医薬品についても不正に入手したものではなく、別の男性従業員が自身の治療のために医療機関から処方されたものだったことが判明している。

しかし、その後も風評となった理由として、医薬品を取り扱う製薬企業の社員が、業務外の場所で医薬品を不適切に使用したことに対してモラルを疑う状況が明らかとなったことや、所管行政である厚生労働省への会社の過剰な対応などによると考えられる。当時の日本新薬のドタバタ劇についての詳細は、本コラムの筆者の「

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白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)
白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

白井 邦芳(危機管理コンサルタント/社会情報大学院大学 教授)

ゼウス・コンサルティング代表取締役社長(現職)。1981年、早稲田大学教育学部を卒業後、AIU保険会社に入社。数度の米国研修・滞在を経て、企業不祥事、役員訴訟、異物混入、情報漏えい、テロ等の危機管理コンサルティング、災害対策、事業継続支援に多数関わる。2003年AIGリスクコンサルティング首席コンサルタント、2008年AIGコーポレートソリューションズ常務執行役員。AIGグループのBCPオフィサー及びRapid Response Team(緊急事態対応チーム)の危機管理担当役員を経て現在に至る。これまでに手がけた事例は2700件以上にのぼる。文部科学省 独立行政法人科学技術振興機構 「安全安心」研究開発領域追跡評価委員(社会心理学及びリスクマネジメント分野主査:2011年)。事業構想大学院大学客員教授(2017年-2018年)。日本広報学会会員、一般社団法人GBL研究所会員、日本法科学技術学会会員、経営戦略研究所講師。

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