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コラム

CSR視点で広報を考える

従業員による不適切なネット書き込みの影響力を検証――閉店やブランド否定につながる従業員のネット書き込みは致命的リスクか?(上)

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各社の危機管理対応はどうだったのか?

一般的に、筆者はベストプラクティスとして不適切なネット書き込みへの初動対応は、認知してから2時間以内としているが、それが無理な場合でも可能な限り即日、最悪でも48時間以内と企業側に説明している。今回の一連の各社の対応は、それをクリアーしている。

「発見日」「対応日」「テレビ報道開始日」の流れなどを見ていただくと、ほとんどの事例で発見日即日もしくは翌日には企業側が対応していることがわかる。(表1参照)

表1:資料提供「株式会社VLe」
※注1:「対応日」は公式ホームページでの公表日。※注2:トレンド把握のため、飲食店については全体のボリューム量比較で、また、コンビニエンスストアーは全体のボリューム量が大きいため「不適切な投稿」に関するキーワードでツイートを抽出。

ローソン

ローソンは、7月14日に「従業員がアイスの冷蔵ケース内で寝転んでいる状況」を撮った不適切な写真がtwitterおよびfacebookで投稿されていることを認知し、翌15日には「加盟店従業員の不適切な行為についてのお詫びとお知らせ」を公表した。

対応としては、冷蔵ケースとアイスクリーム商品の撤去、フランチャイズ契約の解約、当該店舗の休業、投稿従業員の解雇、その他従業員への再教育などである。この種の一連の事件の最初となるケースであり、メディアや一般ネットユーザーへの関心も高い事例だけに、今後発生するであろう他社事例の試金石となる対応をしなければならないケースとして難しい判断であったろう。

このケースでは、フランチャイズ契約の解約や当該店舗の休業、再教育などを含めて、リスク管理や法的な視点からも非常に早く適切な対応がなされたことで、比較的問題が大きくならずに収束できた事例と考えられる。

ツイートの波及状況については、約1カ月半(7月14日から8月26日までの期間)に31,431件の「ローソン」の投稿に関するつぶやきがあったが、「お知らせ」の前後で11,478件がツイートされ、ほぼ1日で約36.5%が集中していたことが確認された。

ファミリーマート

「ファミリーマート」は、7月20日に「香川真司選手が来た」との内容で、防犯カメラに映った写真がツイートされていることを認知した。この内容が一気に2ちゃんねるやYouTubeでも拡散し炎上した。

これを受けて「ファミリーマート」は即日速やかに、「ファミリーマート加盟店従業員に関するお詫び」を公表、見事に火消しした。

本件は、防犯カメラの画像をSNSに転載したり、個人情報を不適切に取り扱うといった法的にも問題が指摘されるコンプライアンス上の事例であり、「ファミリーマート」側の対応の早さは、経営者の脳裏に「対応が遅れれば致命傷となる」と考えた結果に違いない。即時対応の原則に従い行った成果であり、その背景は経営陣の危機管理上の認識の重さを象徴しているものと考えられる。

ツイートの波及状況については、約1カ月半(7月11日から8月26日までの期間)に1,241件の「ファミリーマート」の投稿に関するつぶやきがあったが、「お詫び」の前後で537件がツイートされ、ほぼ1日で約43.3%が集中していたことが確認された。

※引き続き事例を紹介していきます! ──続きは明日(9/5)掲載予定です。


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