【前回の記事「コピーを「話す」ように書いてみると…」はこちら】
人に何かお願い事をするとき、「〜してください」と言うよりも、「〜してくれませんか?」と疑問形にしたほうが、その了承率は高くなる…
これは、以前に少し心理学をかじった時に学んだことですが、今でも原稿の執筆依頼や出演交渉の書類を書くときに実感しています。
どうして?と聞かれると答えは難しいのですが、一つ言えることは、「〜してくれませんか?」の疑問形には、「それともダメですか?」と続くニュアンスがあります。すると依頼を受けた側には、YesかNoを決める主導権は自分にあるのだ、というある種の優越感のような感情が生まれ、頼まれごとに対してより協力的になる気がします。
これを、疑問形ではなく、言葉を丁寧にしたつもりで「〜していただけるようお願い申し上げます」にした場合、そもそも一種の慣用句なので丁寧さの特別感は伝わらないし、むしろ受け手の深層心理には、「YesかNoかの選択肢がなく、一方的に了承を求められている」と印象づけてしまうのだと思います。
会って話せばふつうに伝わる内容も、文章の「形式」に変換すると事務的に感じます。単なる報告や連絡なら問題はないでしょうが、お願いごと(「商品を買ってください」もお願いの一種)の場合は、相手の心を開かせる言い回しかそうでないかで答えが変わってくるかもしれないのですから大問題です。相手がどんなひねくれ者かもわかりませんし。そういうリスクを避けるために、 僕の「依頼書」は、相手がどんなエラい先生でも「話し言葉」による、ほとんど「手紙」のような文面です。
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