結局、最後に背中を押すのは「人間力」

【前回コラム】「買う5秒前、その“逆張り”に背中を押されるワタシ」はこちら

このコラムもいよいよ最終回。これまで人の“買う5秒前”に迫り、何が彼らの背中を押したのか?——の正体に迫ってきた。

それは、時に「本能」だったり、「SNS」だったり、あるいは「シンプル」や「ボーダレス」や「逆張り」だったり——と色々あったわけだけど、今回、最後に取り上げるのは「人間力」。

そう、人間力。

マニュアルとか計算とかを超越した、人間本来の持つ求心力とでも言おうか。

その説明に入る前に、ここらで現代の消費シーンが抱える問題点について改めて整理したいと思う。

ざっくり言えば、今、作り手や売り手が最も危惧しているのは、かつて存在した“巨大な中間ゾーン”の消失である。

中間ゾーンって?

市場における一握りの勝ち組と、その他大勢の負け組やニッチの間を埋める、いわば中ヒットの商品群のこと。かつてはその中間ゾーンが市場の大半を占めていたが、今や空洞化の危機にある。

例えば、テレビの連ドラ。90年代に百花繚乱のごとく様々な名作が生まれ、若者たちの支持を集めた魅力的な市場が、今や低視聴率に喘いでいる。内容も医療モノや刑事モノばかり。一方で、時に『半沢直樹』みたいな視聴率40%を超えるお化けドラマが現れる。要するに、今や多種多様な中ヒットのドラマがめっきり減ったのだ。

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草場滋(「指南役」代表)
草場滋(「指南役」代表)

メディアプランナー。エンターテインメント企画集団「指南役」代表。テレビ番組『逃走中』(フジテレビ)の企画原案、映画『バブルへGO!!』(監督・馬場康夫)の原作協力、雑誌連載「テレビ証券」(日経エンタテインメント!)の監修など、メディアを横断してプランニング活動を行う。著書に『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)、『タイムウォーカー』(ダイヤモンド社)、『「考え方」の考え方』(大和書房)、『情報は集めるな!』(マガジンハウス)、『幻の1940年計画』(アスペクト)、『テレビは余命7年』(大和書房)ほか。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。

草場滋(「指南役」代表)

メディアプランナー。エンターテインメント企画集団「指南役」代表。テレビ番組『逃走中』(フジテレビ)の企画原案、映画『バブルへGO!!』(監督・馬場康夫)の原作協力、雑誌連載「テレビ証券」(日経エンタテインメント!)の監修など、メディアを横断してプランニング活動を行う。著書に『キミがこの本を買ったワケ』(扶桑社)、『タイムウォーカー』(ダイヤモンド社)、『「考え方」の考え方』(大和書房)、『情報は集めるな!』(マガジンハウス)、『幻の1940年計画』(アスペクト)、『テレビは余命7年』(大和書房)ほか。ホイチョイ・プロダクションズのブレーンも務める。

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