およそ3年でたどり着いた「コミュニティ」という一つの解
コルク 代表取締役社長 佐渡島庸平(さどしま・ようへい) 氏
2002年に講談社に入社し、『ドラゴン桜』(三田紀房)『宇宙兄弟』(小山宙哉)などの編集担当。2012年にクリエイターのエージェント会社、コルクを設立。『鼻下長紳士回顧録』(安野モヨコ)『テンプリズム』(曽田正人)『インベスターZ』(三田紀房)『マチネの終わりに』(平野啓一郎)の編集。
これまでの出版界のビジネスモデルが通用しなくなっている–それは、縮小を続ける国内の出版市場のデータが物語るだけでなく、相次ぐ雑誌の廃刊や出版社をはじめとするプレイヤーの廃業などからも、その苦境ぶりがうかがえる。
「日本の出版界の仕組みは、たくさんの人が書店で本を買うことを前提に成り立っていたのですが、その前提がいま、すごい勢いで崩壊しつつある」。
そう語る佐渡島庸平氏は、2012年10月に講談社を退職し、作家エージェント会社コルクを設立した。出版社や媒体の都合に左右されず、作家の才能を最大限発揮させ、作品の価値をより高めるべく、長期的なスパンで作家とタッグを組む体制を敷くためだ。原稿料や印税から一定のエージェントフィーを取るコルクのビジネスモデルは、破綻しつつある出版界の仕組みをも変えようとしている。
コルクの設立からおよそ3年が経とうとしている現在、設立当初にイメージしていたことを具現化できているかという問いに対し、「どちらかといえば当初イメージしていなかったことをやっています」と佐渡島氏は答える。この3年、出版社にいた頃には接点のなかったベンチャー経営者などと多く会うようになった。時代の先を見据えるリーダーたちが考えていたのは、ITによって世の中がどう変わるかということ。あらゆる業界がITに翻弄されており、それは出版界も例外ではないと感じた。