クリエイティブデータ部門受賞作の傾向 — カンヌライオンズ2018
は、私が審査員を務めたカンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバルのクリエイティブデータ部門におけるプレジャッジから受賞作決定のプロセスを紹介しました。今回は各審査過程でのディスカッションやそこから得られる受賞作の共通項を解説します。
審査開始にあたり、部門の審査員長であるMarc Maleh氏 (Global Director, Havas)から説明された審査のポイントは、以下の通りでした。
「データそれ自体は単なる成分(ingredient)にすぎず、それを使ってどうアイデアをつくり、ビジネスゴールに到達できたかが重要。一方で、そのデータ(および活用)がなかったら、そのアイデアやキャンペーンは成立しないことも大事な判断ポイント」。
カテゴリ全体の方針としては非常に明快な定義と思います。それでは各審査段階における傾向と論点を、作品の紹介も交えながら説明します。
プレジャッジ→ロングリスト:「アイデアとデータの両立が必須」
ロングリストは、プレジャッジの各審査員の採点が自動集計されてでき上がります(ディスカッションはありません)。残った作品群から推察してみると、まずアイデアのない作品はほとんど落ちているのがわかります。単なるDMP活用、高精度なリターゲティング、オンライン・オフラインを跨いだデータ連携、VRイベント事例などは成果を出していても、ロングリストには残りませんでした。