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宝島社、樹木希林さんを起用した企業広告を二紙に出稿

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宝島社は10月29日に、企業広告「あとは、じぶんで考えてよ。」を朝日新聞に、「サヨナラ、地球さん。」を読売新聞に出稿した。そこに登場しているのは、9月に逝去された女優の樹木希林さん。朝日新聞には、樹木さん、内田裕也さんほか家族の写真が、読売新聞にはご本人のおどけたポートレイトが使用されている。キャッチコピーはそれぞれ「あとは、じぶんで考えてよ。」「サヨナラ、地球さん。」、ボディコピーは樹木さんの生前の数々の言葉をもとに制作したという。

今回の広告の企画意図について、同社は「死生観、人生観、恋愛観、仕事観…、樹木希林さんが残された数々の言葉をもとに、世の中に向けて、樹木希林さんからの最後の言葉として2つのメッセージをつくりました。

どう生きるか、そして、どう死ぬかに向き合った樹木希林さんの、地球の人々への最後のメッセージ。どう生きるか、どう死ぬかについて、あらためて深く考えるきっかけになれば幸いです」と話している。

同社は2016年1月は、樹木希林さん出演の企業広告「死ぬときぐらい好きにさせてよ」を新聞4紙に同時掲載。この広告は、読売広告大賞、朝日広告賞、朝日新聞読者賞、日本新聞協会新聞広告賞、ADC賞、TCC賞を受賞した。樹木さんが亡くなった時も、再び注目を集めていた。

※朝日新聞コピー

あとは、じぶんで考えてよ。(キャッチコピー)

絆というものを、あまり信用しないの。期待しすぎると、お互い苦しくなっちゃうから。

だいたい他人様から良く思われても、他人様はなんにもしてくれないし(笑)。

迷ったら、自分にとって楽なほうに、道を変えればいいんじゃないかしら。

演技をやるために役者を生きているんじゃなくて、人間をやるために生きているんです。

代表作?ないのよ。助演どころか、チョイ役チョイ役って渡り歩く、チョイ演女優なの。

自分は社会でなにができるか、と適性をさぐる謙虚さが、女性を綺麗にしていくと思います。

楽しむのではなくて、面白がることよ。中に入って面白がるの。面白がらなきゃやってけないもの、この世の中。

老人の跋扈(ばっこ)が、いちばん世の中を悪くすると思います。

病を悪、健康を善とするだけなら、こんなつまらない人生はないわよ。

死に向けて行う作業は、おわびですね。謝るのはお金がかからないから、ケチな私にピッタリなのよ。謝っちゃったら、すっきりするしね。

“言わなくていいこと”は、ないと思う。やっぱり言ったほうがいいのよ。

こちら希林館です。留守電とFAXだけです。なお過去の映像等の二次使用はどうぞ使ってください。出演オファーはFAXでお願いします。

このように服を着た樹木希林は死ねばそれで終わりですが、またいろいろなきっかけや縁があれば、次は山田太郎という人間として現れるかもしれない。

えっ、わたしの話で救われる人がいる?それは依存症というものよ。

※読売新聞コピー

サヨナラ、地球さん。(キャッチコピー)

靴下でもシャツでも、最後は掃除道具として、最後まで使い切る。人間も、十分生きて自分を使い切ったと思えることが、人間冥利に尽きるんじゃないかしら。そういう意味で、がんになって死ぬのがいちばん幸せなのよ。

用意ができる。片付けして、その準備ができるのは最高だと思うの。

ひょっとしたら、この人は来年はいないかもしれないと思ったら、その人との時間は大事でしょう?そうやって考えると、がんは面白いのよ。

いまの世の中って、ひとつ問題が起きると、みんなで徹底的にやっつけるじゃない。だから怖いの。自分が当事者になることなんて、だれも考えていないんでしょうね。

日本には「水に流す」という言葉があるけど、桜の花は「水に流す」といったことを表しているなと思うの。

何もなかったように散って、また春が来ると咲き誇る。桜が毎年咲き誇るうちに、「水に流す」という考えかたを、もう一度日本人は見直すべきなんじゃないかしら。

それでは、みなさん、わたしは水に流されていなくなります。今まで、好きにさせてくれてありがとう。樹木希林、おしまい。


CD:佐々木 宏
C:三井明子
AD:浜辺明弘
D:松崎貴史
撮影:矢吹健巳(読売新聞)、内田也哉子氏提供(朝日新聞)
クリエイティブアドバイザー:能丸裕幸